
何十年ぶりだろう。子どもの頃に歩いた、あの道へ
今回訪れたのは、長崎市香焼町にある、地元で昔から「へび道」と呼ばれている坂道です。
観光名所というわけでもなく、特別な建物があるわけでもありません。山の斜面をくねくねと曲がりながら続く、昔から地域の人たちが利用してきた生活道路です。
ただ、自分にとっては少し特別な場所でもあります。
子どもの頃、友達と遊びに行ったり、学校へ向かったり、家族と一緒に歩いたり。そんな何気ない日常の思い出が残っている道なんです。
今でも車では時々通りますが、こうして自分の足で歩くのは本当に久しぶり。
もしかすると、子どもの頃以来かもしれません。
今回はそんな懐かしい「へび道」を、昔の記憶をたどりながらゆっくり歩いてみました。

地元で今も使われる「へび道」という呼び名
「へび道」。
なかなかインパクトのある名前ですが、地図で道の形を見ると、なるほどと思います。
山の斜面を右へ左へ。まるでへびが進むように、くねくねと曲がっているんです。
正式な道路名なのかは分かりませんが、少なくとも自分が育ったこの辺りでは、昔から普通に使われてきた呼び名です。
今でも地元の年配の方たちの間では、道を説明するときなどに使われています。
ただ、若い世代にも通じるのかというと……そこはちょっと分かりません(笑)。
今では海側に新しい道路ができ、わざわざこの道を通る機会も少なくなりました。
もしかすると、香焼に住んでいても、この道の存在を知らない人がいるかもしれませんね。

実際に歩いていると、目の前にはカーブが続く普通の坂道が見えるだけですが、上から見ると、その独特な形がよく分かります。
山の斜面を何度も折り返しながら続く道は、まさに「へび道」という名前がぴったり。
下の案内図では、特に曲がりくねった部分を青い点線で囲んでいます。

※この案内図は道の特徴を紹介するためのイメージ図です。実際の道路の形や位置を正確に示したものではありません。
実際の場所や周辺の道路については、Googleマップでも確認できます。
昔は、暮らしを支えていた道でした
今でこそ静かなへび道ですが、自分が子どもの頃は、もっと身近な生活道路でした。
当時は、現在のように海側の埋め立て道路が整備されていなかったため、自分たちが暮らす地域から本村方面へ向かうには、このへび道や山越えの道が大切なルートだったんです。
ただ、へび道はどちらかというと車で通ることが多い道でした。
歩いて本村方面へ向かうときは、別の階段を上って墓地のある場所へ出て、そこから反対側の階段を下るルートをよく使っていました。
学校へ行くときも、基本的にはその道です。
今考えると、毎日のように坂や階段を上り下りしていたわけで・・・。
そりゃ足腰も強くなりますよね(笑)。

本村がバスの終点だった頃
自分が高校生の頃には、海側の埋め立て道路が完成し、バスも走るようになっていました。
バス停が家の目の前にでき、ずいぶん便利になったのを覚えています。
でも、12歳上の姉たちの頃は事情が違いました。
当時、バスの終点は香焼本村。
そこから家まで山を越えて歩くか、家族に迎えに来てもらうか。
もちろん、今のように携帯電話もスマートフォンもない時代です。
簡単に連絡を取ることもできなかったので、今考えるとなかなか大変だったんだろうなと思います。
道路が一本できるだけで、毎日の暮らしは大きく変わるものですね。
今では当たり前に利用している道にも、そんな昔の暮らしがあったんだなと、改めて感じました。

へび道に残る、子どもの頃の思い出
へび道を歩いていると、昔のことが次々と思い出されてきました。
保育所の頃には、おばあちゃんと一緒に本村方面の保育所まで歩いたこともありました。
あの頃は、ただ一緒に歩いていただけだったと思います。
でも、こうして何十年も経って同じ道を歩くと、不思議とその頃の記憶がよみがえってくるんですよね。
そして、へび道の上の方には、かつて教職員住宅がありました。
そこには友達が何人か住んでいて、一緒にサッカーをしたり、学校へ向かったりした思い出があります。
当時は住宅の裏手から別の山道に入ることもできました。
実はその道、以前MAGAZINEで紹介した魚見大橋の反対側へとつながっているんです。
昔は何とも思わず行き来していた道が、今こうして歩き直してみると、少しずつ頭の中でつながっていきます。
なんだか面白いですね。

関連記事: 魚見大橋の記事はこちら
※教職員住宅裏の山道は、当時の思い出として紹介しています。現在の通行状況は確認していません。
父の新車と、道端に落ちていたホイールの話(笑)
へび道には、忘れられない出来事もあります。
それは、自分が小学生くらいの頃の話です。
免許を取ったばかりの姉が、父の車を借りて一人で出かけたことがありました。
しかも、その車は新車(笑)。
姉は無事に帰ってきたのですが、その数時間後。
別の会社の車で帰宅した父が、へび道の途中で何かを見つけたそうです。
「なんか、自分の車のホイールに似たのが落ちとった」
気になって拾って帰ってきたところ・・・。
まさかの、自分の新車のホイールだったんです(笑)。
どうやら姉が道の端に乗り上げたのか、タイヤをこすったのか、そのときに外れてしまったようです。
いや、そんなことあります!?(笑)
しかも、落ちていたホイールを持ち主本人が拾って帰ってくるという偶然。
この話は、今でも強烈に覚えています。
ちなみに、その姉は現在ペーパードライバー。
この出来事が原因なのかどうかは分かりませんが、今ではまったく運転していません(笑)。

曲がりくねった坂道。運転には今も注意が必要です
笑い話として覚えているホイール事件ですが、へび道は実際に運転が難しい場所でもあります。
道幅が狭いところもあり、急なカーブが続くうえに坂道。
一方通行ではないので、対向車とのすれ違いには気を使います。
今は昔ほど交通量が多くない印象ですが、子どもの頃はもっと車が通っていました。
脱輪している車を見たこともありますし、ガードレールのない場所で車が横転しているのを見かけたこともありました。
子どもながらに、かなり衝撃的だったのを覚えています。
今でも住宅がある生活道路なので、歩く人も車で通る人も、十分に注意したい場所です。

帰りは、昔よく歩いた階段と細道へ
へび道を歩いたあとは、帰りに別のルートを選びました。
子どもの頃、学校へ行くときなどによく通っていた階段と細道です。
途中には、祖父母が眠るお墓もあります。
お盆には今でも車で近くまで来ますが、この道を歩いて通るのは本当に久しぶり。
そして、実際に歩いてみて驚きました。
昔の道が、ほとんどそのまま残っていたんです。
階段も、細い道も、周囲の家並みも。
空き家になっている家もあれば、一部では道路が整備され、車が入れるようになった場所もありました。
それでも、子どもの頃に歩いていた景色が、思っていた以上に残っていました。
「ああ、ここも通ってたな」
そんなことを考えながら、一歩ずつ歩いていきます。


地図には載っていない、記憶の中の道
そして、今回もうひとつ面白かったことがあります。
実は、この帰り道。
Googleマップでは、道として表示されていない部分があったんです(笑)。
へび道は地図にもちゃんと載っています。
でも、子どもの頃に何度も歩いた階段や細道は、地図上では確認できないところがありました。
もちろん、実際には道があります。
しかも、最近できた道ではなく、ずっと昔から使われてきた道です。
地図には表示されていなくても、そこには確かに道があって、人の暮らしがありました。
そんなことを考えると、なんだか不思議な気分になりますね。
今回の散歩は、地図に載っている道だけでは分からない、昔の香焼を思い出す時間にもなりました。

静かな道で、今回は本物の猫様に遭遇(笑)
今回の道中は、驚くほど静かでした。
人や車の行き来も少なく、昔のことを考えながらゆっくり歩くには、ちょうどいい時間でした。
そして、帰りの細道でうれしい出会いが。
猫様!!(笑)
前回の神社では、木の根元にあった黒い炭を猫と勘違いして、一人で話しかけてしまったのですが……。
今回は間違いなく本物です(笑)。
いや〜、テンション上がりましたね。
もしかすると、前回の神社の神様が会わせてくれたのかもしれません(笑)。
こういう小さな出会いも、歩く楽しさのひとつです。

子どもの頃は平気だった坂が、今ではなかなか・・・
それにしても、久しぶりに歩いて感じたことがあります。
へび道って、こんなにきつかったっけ?(笑)
子どもの頃は、坂も階段も大して気にしていませんでした。
学校へ行くのも、友達の家へ遊びに行くのも、当たり前のように上ったり下りたり。
でも、大人になって改めて歩いてみると、なかなかの運動量です。
しっかり汗もかきました(笑)。
道そのものは昔と大きく変わっていなくても、歩いている自分の方はずいぶん変わったのかもしれませんね。
そんなことを感じた、久しぶりのへび道でした。

歩くときは、ちょっとだけご注意を
へび道や周辺の階段・細道は、観光地ではなく、今も地域の方々が暮らしている住宅地の中にある道です。
大きな声を出したり、住宅の前で長時間立ち止まったりせず、地元の方々の暮らしに配慮しながら歩きたいところです。
また、へび道は急なカーブが多く、道幅が狭い場所もあります。
一方通行ではないため、車同士のすれ違いにも注意が必要です。
歩行者も車の接近に気をつけ、車で通る場合も歩行者や対向車には十分注意したいですね。
そして、階段や細道では足元にもご注意を。
特に雨の日は滑りやすくなる場所もあると思いますので、無理せず歩いてください。
ちなみに、今回のように久しぶりに歩く方は、体力にも少し余裕を持っておいた方がいいかもしれません。
子どもの頃の感覚で歩くと、思った以上に汗をかきます(笑)。
なお、昔の山道については、現在の通行状況を確認していません。私有地や立ち入りが制限されている場所には入らないようにしてください。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
今回歩いた場所には、長崎港を一望するような絶景があるわけでも、有名な観光スポットがあるわけでもありません。
写真にすると、同じような坂道や階段が続いているように見えるかもしれません。
でも、自分にとっては、その何でもない道のひとつひとつに思い出があります。
昔のバスの終点。
おばあちゃんと歩いた保育所への道。
友達が住んでいた教職員住宅。
父の新車のホイール事件(笑)。
そして、今も残っている階段と細道。
新しい道路ができ、街の暮らしが変わっても、昔の道には昔の時間が残っているんですね。
SAKAMACHI SUPPLYが大切にしているのは、そんな長崎の日常です。
有名な場所だけが、この街の魅力ではありません。
何でもない坂道にも、そこに暮らした人の物語があります。
「この街の日常が、デザインになる。」
今回のへび道は、その言葉を改めて感じさせてくれる場所でした。
🛍️ SAKAMACHI SUPPLY
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の「坂」「港」「方言」「街の風景」をモチーフにしたアイテムを展開しています。
長崎を知っている人には「懐かしい」。
長崎を知らない人には「なんだろう?」と思ってもらえる。
そんな「長崎らしさ」を、シンプルなデザインに込めています。
まとめ|新しい景色を探すだけが、街歩きじゃない
今回の散歩は、距離としてはそれほど長くありませんでした。
でも、歩き終わってみると、ずいぶん遠くまで出かけてきたような気分になりました。
それはきっと、歩いた距離よりも、思い出した時間の方が長かったからかもしれません。
知らない道を歩くのも楽しいものです。
初めて見る景色や、思いがけない発見があります。
でも、昔よく歩いていた道を、何十年ぶりかに歩いてみるのもいいものですね。
普段は頭の片隅にしまってある記憶が、曲がり角や階段をきっかけに、次々によみがえってきます。
NAGASAKI MAGAZINEを書き始めて、そんな街歩きの面白さにも気づくようになりました。
新しい景色を探すだけが、街歩きじゃない。
たまには、昔の自分が歩いた道を、もう一度歩いてみる。
そんな時間もいいものだと思います。
そして今回も、しっかり汗をかきました(笑)。
次はどんな道を歩こうかな。
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NAGASAKI MAGAZINEについて
NAGASAKI MAGAZINEは、長崎の坂や方言、港町の風景、歴史、そして暮らしの魅力を発信するWEBマガジンです。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
NAGASAKI MAGAZINEでは、実際に自分の足で歩き、見て、感じた長崎の魅力を写真とともに発信中。
有名な観光地だけでなく、何気ない坂道や住宅街、地元の人しか知らない景色まで、「歩いてこそ見えてくる長崎」をテーマに、この街の魅力を一つひとつ記録しています。
これからも長崎の街を歩きながら、この街の魅力を皆さんにお届けしていきます。

