
毎日見ているのに、ずっと歩いていなかった場所
長崎市香焼町にある「魚見大橋」。
自宅からも近く、車で通ったり、娘と一緒に登校したり、橋の下は毎日のように通っています。
いつも下から見上げている、本当に身近な橋です。
それなのに、橋の上を歩いたのはいつだっただろう。
最近、下を通るたびに、
「久しぶりに橋を渡って、展望台まで行ってみたいな」
と思うようになっていました。
そこで土曜日の休みに、下の娘と一緒に歩いてみようと数日前から計画。
「一緒に行く?」
と聞くと、
「うん!行く!」
となかなかいい返事。
ところが前日、仲良しの年上のお姉さんからお誘いが。
父、あっさり振られました(笑)。
一応、家にいた上の娘にも声をかけてみましたが……。
結果はご想像にお任せします(笑)。
暑いしね。
ということで、結局この日は妻と二人で魚見大橋へ向かうことになりました。

いつもの道から、橋の上へ
自宅のある竹崎海水浴場方面から、本村方面へ歩いて10分ほど。
いつも通っている魚見大橋の下へ到着します。
魚見大橋の上や展望台へ向かうルートは大きく二方向ありますが、今回は一度橋の下を通り、その先から階段を上がるルートを選びました。
道路を挟んで両側に階段があるので、せっかくだから妻とは別々の階段から上へ。
普段ならそのまま通り過ぎてしまう場所。
でも階段を上ってみると、毎日見ている景色が少しずつ違って見えてきます。


下から見るのと、上から見るのでは全然違う
階段を上り、魚見大橋の上へ。
最初に感じたのが、風の強さでした。
魚見大橋は山を切り開いた切り通しの上に架かっています。
海が近いこともあってか、橋の下にいる時とは明らかに風の強さが違います。
以前歩いた女神大橋でも感じましたが、高い場所に出た瞬間、海沿い特有の強い風を感じます。
そして、もう一つ驚いたのが高さ。
毎日のように下から見上げているので、それほど高い橋という感覚はありませんでした。
ところが、橋の上から下を見ると――
高い(笑)。
思っていたより、かなり高い。
手すりも個人的には低く感じて、下を見ると足がすくみます。
妻と二人、気づけば自然と橋の真ん中寄りを歩いていました(笑)。

「娘、今日来なくて逆によかったかもね」
妻とそんな話もしました。
連れてきていたら、怖がって橋を渡れなかったかもしれません。
下から眺めているだけでは分からない、風と高さ。
これは実際に魚見大橋を歩いてみて初めて分かった感覚でした。
橋の反対側にあった、懐かしい道
そして今回、一番印象に残ったのはここからでした。
本村方面から見て右側の階段を上がり、橋とは反対方向を見ると、一本の山道が続いています。
何気なくその道を見た瞬間、
「あ、この道……!」
一気に昔の記憶が戻ってきました。

ここ、中学生の頃に通っていた道でした
魚見大橋や現在の道路ができる前。
竹崎の海が埋め立てられる前は、今とは道の形も違っていて、この山の中を通って学校へ行っていました。
当時、この山の上には教職員住宅があり、友達も住んでいました。
学校から一緒に帰ったり、友達の家へ遊びに行ったり。
何度も歩いた道です。
今では木々が生い茂り、当時とはずいぶん雰囲気が変わっています。
それでも実際にその場所へ立つと、不思議なもので道の感覚は覚えていました。
そして思い出したのが、新しい道路ができた後のこと。
自分たちは現在の魚見大橋の下にある歩道を通って帰り、教職員住宅に住んでいた友達は、途中の階段を上ってこの山道へ。
そこで、
「じゃあ、またあとからな!」
「また明日な!」
そんなことを言いながら別れていました。
30年ほど前の、何でもない放課後の会話。
それまで忘れていたのに、この道を見た瞬間にその場面まで思い出しました。
妻にその話をすると、
「すご(笑)」
と笑っていました。
自分でも、こんなことまで覚えていたことに少し驚きました。

平成7年に完成した魚見大橋
魚見大橋が竣工したのは、平成7年3月。
当時の自分は中学生くらいでした。
そして当時の香焼は、現在の「長崎市香焼町」ではなく、まだ西彼杵郡香焼町だった時代です。
ここでも一つ、懐かしい記憶があります。
橋ができる際、確か町内で橋の名前を募集していた記憶があります。
学校でもみんなで名前を考えたような記憶があり、最終的に決まった名前が、
「魚見大橋(うおみおおはし)」
でした。
誰が考えた名前だったのかは分かりません。
ただ一つ確かなのは、
自分の案ではありません(笑)。

数十年ぶりに、魚見大橋を渡る
昔の山道に思わぬ再会をしたあと、いよいよ魚見大橋を渡って展望台へ向かいます。
橋が完成してから展望台へ行ったことはあるはずなのですが、不思議なくらい当時の記憶がありません。
山道のことはあれだけ覚えているのに(笑)。
おそらく中学生だった自分にとって、展望台よりも友達と毎日歩いていた道の方が、ずっと身近な場所だったのでしょう。

魚見大橋を渡った先、山道を抜けて展望台へ
魚見大橋を渡ると、その先は再び木々に囲まれた道へと入っていきます。
さっきまで風の強い橋の上を歩いていたのに、少し進むだけで今度は山の中。
木漏れ日の差す道を歩いていると、家から歩いて来られる場所だということを忘れてしまいそうです。
ところどころ落ち葉や木の枝も多く、蜘蛛の巣に気をつけながら先へ。
そして山道を進んでいくと、木々の中に展望台が現れます。

木々の中に現れる、魚見の展望台
到着した展望台は、周囲を木々に囲まれた静かな場所。
橋ができてから一度は来たことがあるはずなのですが、正直、展望台そのものの記憶はほとんど残っていませんでした。
「こんな感じだったっけ?」
妻とそんな話をしながら階段を上っていきます。
数十年ぶりに来たからなのか、それとも当時は景色なんて大して気にしていなかったのか(笑)。
でも今になって改めて来てみると、家のすぐ近くにこんな場所があること自体がちょっと不思議に感じます。

展望台から見えた、いつもとは違う香焼の景色
展望台へ上がると、一気に視界が開けます。
眼下には香焼の町と海。
さらに遠くへ目を向けると、女神大橋の姿も見ることができました。
この前は実際に女神大橋を歩いて、その橋の上から香焼方面を眺めたばかり。
今度は逆に、香焼の山の上から女神大橋を眺めています。
「あそこ、この前歩いたよね」
そんな話をしながら見る女神大橋は、普段とはまた少し違って見えました。
毎日暮らしている香焼も、少し高い場所から眺めるだけで全然違う町のように見えます。
海があって、山があって、その間に家々や造船所が広がり、その向こうには長崎の街へとつながる景色。
家から歩いて来られる場所なのに、こんな景色が見られる。
今回久しぶりに魚見大橋を歩いてみて、一番得した気分になった瞬間でした。

関連記事|長崎・女神大橋を歩いてみた→
すぐ近くなのに、知らない景色があった
今回歩いてみて一番不思議だったのは、
「こんな場所が家のすぐ近くにあったんだ」
という感覚でした。
毎日、魚見大橋の下を通っています。
車でも通るし、娘と歩いて学校へ向かう時にも通る。
それほど日常の中にある場所なのに、ほんの少し階段を上り、山の中へ入っただけで景色が一変します。
山道の写真だけを誰かに見せられても、おそらく自分でも家の近くだとは分からないと思います。

歩く際には少し注意も
魚見大橋から展望台へ続く道には、手すりやベンチなども設置されています。
ただ、今回歩いた時には木や落ち葉が多く、場所によっては蜘蛛の巣もありました。
そして、この周辺で特に気をつけたいのがイノシシです。
自分自身、この辺りで実際にイノシシを何度か目撃したことがあります。
山道には地面を掘り起こしたような場所や、石がゴロゴロしているところも見られました。
そのため、個人的には暗い時間帯に入るのはおすすめしません。
明るい時間帯に、できれば一人ではなく複数人で会話をしながら歩き、歩きやすい靴や服装で訪れるのが安心だと思います。
また魚見大橋の上は風が強く、高さもあります。
特に小さなお子さんと一緒に歩く場合は、橋の上では十分注意してください。

帰り道も、昔の香焼を思い出しながら
展望台をあとにして、帰りは竹崎・伊王島方面へ下る階段から山を出ました。
眼下に見えるのは、昔とは姿が変わった竹崎の海。
以前の記事でも触れましたが、この辺りは埋め立てによって、自分が子どもの頃とは風景が大きく変わっています。
妻と、
「あそこは昔こうだった」
「この辺はこんな感じだった」
と話しながら歩きました。
数十年ぶりに歩いた魚見大橋と、その周辺の道。
景色を見に行ったつもりが、いつの間にか昔の香焼を歩いているような時間になっていました。

SAKAMACHI SUPPLY的な視点
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魚見大橋も、私にとっては特別な観光スポットというより、毎日のようにその下を通っている「いつもの景色」のひとつ。
でも今回、久しぶりに階段を上り、橋を渡り、山道を歩いてみると、その印象は大きく変わりました。
下から見ているだけでは分からなかった橋の高さや風の強さ。
昔歩いていた山道。
その先にある展望台と、そこから見える香焼の町や海。
何気なく通り過ぎている場所にも、実際に歩いてみると、その土地ならではの景色や記憶が残っています。
「この街の日常が、デザインになる。」
そんなSAKAMACHI SUPPLYの考え方は、こういう場所を歩いている時にこそ生まれてくるのかもしれません。
有名な観光地だけではなく、いつもの道や、名前も知らない坂、何気なく見上げている橋。
これからも自分たちの足で歩きながら、そんな長崎の日常を見つけていきたいと思います。
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まとめ|いつもの場所を、少し違う方向へ歩いてみる
魚見大橋は、自分にとって特別な観光地というより、毎日の生活の中にある橋です。
だからこそ、これまでわざわざ橋の上まで歩こうとは思わなかったのかもしれません。
でも今回、数十年ぶりに歩いてみたことで、橋の上から見える景色だけではなく、忘れていた中学生時代の記憶まで蘇ってきました。
新しい道路ができる前に歩いていた山道。
友達と別れた階段。
「また明日な」と言って帰った放課後。
そして、そのすぐそばに今も架かっている魚見大橋。
街は変わっても、昔の記憶につながる場所は意外と身近なところに残っているものです。
長崎には、有名な観光地ではなくても、少し道を外れて歩いてみると面白い場所がたくさんあります。
毎日見ている場所を、いつもとは少し違う方向へ歩いてみる。
それだけで、知らなかった景色に出会えるかもしれません。
……ちなみに。
汗だくになって妻と家へ帰ると、
上の娘がキンキンに冷えた部屋で出迎えてくれました(笑)。
やっぱり行かなくて正解だったと思っていたかもしれません。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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