長崎・幣振坂(へいふりざか)を歩く|寺町の石段で感じた、もうひとつの長崎

長崎の街なかで、ふと思い出した坂

長崎市鍛冶屋町から寺町方面へ。

この日は近くの駐車場に車を停めて、妻を待っていました。

思ったより早く着いてしまい、時間を見るとまだ少し余裕がある。

「時間あるやん。」

そうなると最近の自分は、

「そしたら行くやん!」

となるわけです(笑)。

NAGASAKI MAGAZINEで長崎の坂や街を歩くようになってから、ずっと気になっていた場所がありました。

それが今回歩く、

「幣振坂(へいふりざか)」です。

予定していたわけでもなく、たまたまできた少しの空き時間。

せっかく近くまで来ているなら歩いてみよう。

そんな軽い気持ちで寺町方面へ向かいました。


寺町通りを歩くだけでも、いつもの長崎と少し違う

寺町通りは、普段から車で通ることがあります。

でも、車で通るのと歩くのでは全然違いました。

その名前の通り、お寺が並び、仏具店なども目に入ってきます。

車なら何気なく通り過ぎてしまう景色も、歩いてみると一つひとつが気になる。

「こんなところに、こんなのあったんや。」

そんな発見がいくつもありました。

最近NAGASAKI MAGAZINEで歩いているのは、山の方だったり、海沿いだったり、住宅地の坂だったり。

でも寺町には、それとはまったく違う長崎らしい空気があります。

そして車が行き交う寺町通りから一歩、幣振坂へ入る。

ここで空気がまたガラッと変わりました。


「幣振坂」って、そもそもどんな坂?

歴史に詳しくない自分としては、まず名前からして気になります(笑)。

現地の案内板を読んでみると、幣振坂の名前は江戸時代までさかのぼるそうです。

当時、諏訪神社の鳥居に使う石材を山から運び下ろしていた際、非常に大きな石を前に人夫たちが苦労していたところ、宰領が御幣(ごへい)を振って人々を鼓舞したことに由来すると伝えられています。

なるほど。

「幣(へい)を振った坂」だから、幣振坂。

こうやって由来を知ってから歩くと、ただの石段だった場所が少し違って見えてくるから面白い。

ちなみに長崎には「幣振坂」と呼ばれる坂が複数あり、寺町では大音寺と晧臺寺の間、長照寺と延命寺の間を通る坂などが知られています。


映画のロケ地になるのも、歩いてみると納得

案内板を見ていて、もうひとつ気になったのが映画の話。

幣振坂は、さだまさしさん原作、大沢たかおさん、石田ゆり子さんらが出演した映画『解夏』のロケ地にもなっています。

実際に映画の冒頭やラストシーンに登場する場所だそうです。

さらに、全国ロケーションデータベースを見ると、ドラマ『浮世の画家』の撮影実績も掲載されています。

実際に歩いてみると、

「ここをロケ地にしたくなるのも分かるなあ」

と思います。

古い石段、石垣、お寺、お墓、大きな木。

新しく作ろうと思って作れる景色ではありません。

長崎の街が積み重ねてきた時間そのものが、風景になっているように感じます。


ただの「きつい階段」で終わらない

さて。

坂の記事なので、もちろん登ります(笑)。

幣振坂は石段が続き、その両側にはお墓が並んでいます。

何も考えずに階段だけを見て登れば、

ただただ、きつい階段です(笑)。

でも今回は、不思議とそれだけではありませんでした。

古い石垣を眺めたり、

階段の脇に目を向けたり、

大きな木を見上げたり。

少し立ち止まって周りを見ると、目に入ってくるものがたくさんあります。

そして、途中で目に入った大きな木。

長い時間、この場所を見続けてきたんだろうな。

そんなことまで考えてしまいます。

普段なら何気なく通り過ぎてしまうようなものでも、歩いていると妙に目に留まる。

言葉でうまく説明するのは難しいのですが、

なんとなく心が落ち着く。

そんな場所でした。


今回は、途中まで

本当はそのままずっと歩いてみたかったのですが、この日は妻を待っている間の空き時間。

さすがに時間切れです(笑)。

今回はシーボルト記念碑を越えて、さらに少し登った墓地のあたりまで。

ここまで登ると、寺町通りから歩き始めた時とは、もう景色がまったく違います。

地図を見ると、この先も道は続いている。

これはまた時間がある時に、

最後まで歩いてみたい。

今回は「幣振坂・前編」くらいの気持ちで戻ることにしました(笑)。


登ったあとの帰り道が、また面白い

そして帰り。

当然ながら、登ってきたということは帰りは下りです。

これが早い(笑)。

あれだけ階段を登ってきたのに、下り始めるとほんの数分で寺町通りへ。

さらに少し歩けば、また車や人の行き交う街なかです。

さっきまで石段と石垣、お寺やお墓、大木に囲まれていたのに、

ほんの数分で繁華街へ戻ってくる。

この距離感が、なんとも長崎らしくて面白い。


同じ長崎でも、育った場所で「長崎らしさ」は違うのかもしれない

今回歩きながら、ふと思ったことがあります。

自分は長崎でも海の近くで生まれ育ちました。

自分にとっての長崎らしい風景には、やっぱり海がある。

でも、この寺町周辺や街なかで生まれ育った人にとっての「長崎らしさ」は、もしかするとこういう坂や石段、お寺のある景色なのかもしれません。

山の上で育った人には、また違う長崎があるはずです。

長崎は決して大きな街ではありません。

車で20~30分も走れば、海があり、山があり、街があり、その間を無数の坂がつないでいる。

それぞれの場所で暮らしてきた人が、

それぞれ違う「長崎らしさ」を持っているのかもしれない。

最近いろいろな場所を歩くようになって、そんなことを感じるようになりました。


SAKAMACHI SUPPLY的な視点

SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の坂や街、海、方言など、普段そこに暮らしていると見過ごしてしまいそうな「長崎の日常」をモチーフにしています。

幣振坂を歩いて感じたのも、まさにそんな長崎の日常でした。

観光地として整えられた景色だけではなく、

長い年月を重ねた石段があり、

古い石垣があり、

そこに植物が根を張り、

そのすぐ先では今も人が暮らしている。

特別なものを探しに行かなくても、

いつもの街から一本、坂へ入るだけで長崎がある。

これもまた、この街の日常が持つ面白さなのだと思います。

この街の日常が、デザインになる。

幣振坂を歩きながら、SAKAMACHI SUPPLYで表現したい「長崎らしさ」を、またひとつ見つけたような気がしました。


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長崎を知っている人には「懐かしい」。

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まとめ|どこの長崎を切り取っても、そこには長崎がある

今回は、たまたまできた少しの空き時間から始まった幣振坂歩き。

「時間あるやん。そしたら行くやん!」

くらいの軽いノリでしたが(笑)、歩いてみると想像以上に印象に残る場所でした。

寺町通りから一本入っただけなのに、街の空気が変わる。

石段を登りながら周りを見渡せば、石垣や大木、お寺や墓地があり、そのひとつひとつに長崎で積み重なってきた時間を感じる。

そして下れば、ほんの数分でまた街なかへ戻る。

海沿いを歩いても長崎。

山の坂を歩いても長崎。

寺町の古い石段を歩いても、やっぱり長崎。

どこの長崎を切り取っても、そこにはその場所なりの「長崎らしさ」がある。

今回の幣振坂を歩いて、そんな当たり前のようで面白いことに改めて気づきました。

そして今回は途中まで。

次は時間を気にせず、この坂の続きを最後まで歩いてみようと思います。


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この記事を書いた人

道下 真悟(みちした しんご)

有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士

長崎生まれ、長崎育ち。

Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。

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