
「やぜか」って、今もみんな使いよる?
長崎弁の「やぜか」。
意味としては「うざい」「うっとうしい」「面倒くさい」といった感じで、長崎では比較的よく知られた言葉です。
私自身も子どもの頃から普通に使ってきました。
だから当然、今の子どもたちも使っているものだと思っていたんですが・・・。
ある朝、何気ない家族の会話から、ちょっとした疑問が生まれました。
「あれ?もしかして“やぜか”って、今の子どもたち使わんと?」
そこから考え始めると、さらに不思議なことに。
若い世代だけじゃない。
もっと上の世代も、意外と使っていないような・・・?
今回はいつもの長崎弁紹介とは少し趣向を変えて、我が家と周りの人たちをサンプルに、
「“やぜか”をよく使っていた(いる)のは、いったいどの世代なのか?」
を勝手に考えてみます。
※もちろん正式な調査ではありません(笑)。長崎で暮らしてきた私自身の記憶と、家族や身近な人たちの会話から考えた「勝手な長崎弁研究」です。
きっかけは、朝の「バリやぜかよね~」
この日の朝、妻と小学5年生・小学1年生の娘たちを学校の近くまで車で送っていました。
その車内で妻と話していると、
「バリやぜかよね~」
という言葉が普通に出てきました。
そこでふと思ったんです。
「ぬっか」は娘たちが意味は分かっても使わなかった。
でも「やぜか」はさすがに使うやろう。
これはコッテコテの長崎弁ではあるけど、俺らも子どもの頃から普通に使ってたし。
そこで娘たちに聞いてみました。
「“やぜか”って言う?」
すると返ってきた答えが、
「意味は分かる。でも使わん。」
え?(笑)
じゃあ何て言うと?
「ウザい。」
・・・全国共通語に完全敗北しとるやん(笑)。
しかも聞いてみると、学校の男子たちも「やぜか」はほとんど使っていないらしい。
ここで最初の疑問が生まれました。
「やぜか……お前も消えつつあると?」
でも俺らは、めちゃくちゃ使いよったぞ?
私と妻は同世代。
子どもの頃を思い返してみても、「やぜか」は普通に使っていました。
「もう、やぜか!」
「バリやぜか!」
人に対しても、物事に対しても、面倒な状況に対しても使える。
標準語の「うざい」だけでは微妙に表現しきれない、なんとも便利な言葉です。
ちなみに妻は今でも時々、
「やぜい!」
と言います(笑)。
妻いわく、
やぜか + うざい = やぜい
らしい。
もはや方言なのか我が家語なのか分かりません(笑)。
ただ、私たちの世代にとって「やぜか」は、決して昔の人だけが使う言葉ではありませんでした。
むしろ普通に現役だったんです。
そもそも「やぜか」って、ちゃんと長崎弁?
ここで一度、我が家の話から離れて調べてみました。
「やぜか」「やぜらしか」などは、長崎で「うざい」「面倒くさい」「うっとうしい」といった意味合いで使われる方言として紹介されています。
つまり少なくとも、
「俺らの周りだけで使っていた謎の言葉」ではない(笑)。
ここまでは安心。
問題はここからです。
「やぜか」が長崎弁なのは分かった。
じゃあ、いったい誰が使いよると?
30歳の甥っ子は使っていた
では、私たちより下の世代はどうなのか。
思い返してみると、現在30歳の甥っ子。
彼が「やぜか」を使っていた記憶はあります。
ということは、
30歳前後ではまだ現役?
でも、小学生の娘たちは使わない。
20代は?
中学生や高校生は?
どこかの世代を境に変わったのか?
ここまで来ると、もう分からん(笑)。
少なくとも我が家と身近な範囲だけを見ると、
40代 → 普通に使う
30歳 → 使用確認あり
小学生 → 意味は分かる。でも使わない
という状況です。
そして姉夫婦世代。ここが一番強い気がする(笑)
さらに上の世代を考えてみます。
私の姉は57歳。
そして義兄。
この世代を思い返すと……
めちゃくちゃ「やぜか!」って言いよった(笑)。
というか、今でも言います。
しかも私の感覚では、私たちの世代よりさらに言葉が強い。
「やぜか!」もそうですが、「ばり!」も普通じゃありません。
めちゃくちゃ強調したいときには、
「ぼり!」
と言う(笑)。
「ばり」では足りんらしい。
ぼり。
何なん、それ(笑)。
もしかして、この世代が「やぜか」MAX説?
ここからは完全に私の勝手な仮説です。
姉夫婦の世代が若かった頃といえば、今より少し荒々しい若者文化があった時代。
ビーバップ的な世界というか、ヤンキー文化というか(笑)。
もちろん全員がそうだったわけではありませんし、これと「やぜか」の使用率に関係があるという根拠もありません。
ただ、今より言葉遣いそのものが強かった時代だったようには感じます。
もしかすると、
「やぜか!」
という強めの言葉が、当時の若者の言葉遣いとうまくハマったのでは?
・・・という完全なる素人の仮説です(笑)。
さらに不思議なのが、その上の世代。
私たちの親世代、その上くらいになると、「やぜか!」を頻繁に聞いた記憶があまりありません。
もちろん使う人はいると思います。
ただ、私自身の記憶では、
姉夫婦世代あたりが一番強烈。
なんです。
勝手に並べると、山型になっとらん?(笑)
あくまで我が家と身近な人たち限定ですが、感覚的にはこんな感じです。
70代~?
使う人もいるけど、意外とあまり聞かない?
↓
50~60代前半
🔥🔥🔥 「やぜか!」最盛期?
↓
40代
普通に使って育った。今でも使う。
↓
30歳前後
使用確認あり。
↓
10代~小学生
意味は分かる。でも「ウザい」を使う。
・・・。
山型になっとらん?(笑)
調べてみると、方言が世代で変わること自体はあるらしい
ここは少しだけ真面目な話。
「やぜか」の世代別使用率についても調べてみましたが、私が確認した範囲では、「何歳くらいが最も使う」と判断できるような信頼できる調査は見つけられませんでした。
なので「50~60代あたりがMAX」というのは、あくまで私の身近な範囲から感じた仮説です。
ただ、面白い資料はありました。
長崎市の過去の方言コンテンツでは、「ものすごく」を意味する言葉について、世代によって使う表現が微妙に違うと紹介されています。
さらに別の記事では「ばり」を、当時おもに10~20歳代の若年層が使う新しい長崎弁として紹介し、方言にも流行語や世代差があると説明しています。
つまり、
同じ長崎で暮らしていても、世代によって自然に口から出る長崎弁が違う。
ということ自体は、やっぱりあるみたいです。
だとしたら「やぜか」にも、何らかの世代による波があっても不思議ではありません。
ますます気になってきました(笑)。
「ぬっか」と似ているようで、ちょっと違う
以前、我が家で「ぬっか」についても似たような話になりました。
娘たちは意味は分かる。
でも自分たちは「暑か」と言う。
ところが「やぜか」は少し違う。
若い世代が使わないだけなら分かる。
でも私の感覚では、
さらに上の世代も、そこまで使っていない気がする。
そして真ん中あたりの世代が妙に強い(笑)。
だから「古い方言が若者に使われなくなった」という単純な話でもなさそうなんです。
方言って、ひとつずつ残り方が違うのかもしれません。
県外では逆に「長崎弁」として知られている?
さらに面白い出来事がありました。
先日、千葉から長崎へ遊びに来た中学1年生の親戚の女の子。
お土産屋さんで、
「ヤゼカ」
と書かれたTシャツを見つけて買って帰りました。
理由が、
「向こうで友達がウザいことしてきたら、これ見せるわ(笑)」
とのこと。
長崎の小学生は意味を知っているけど使わない。
一方、県外の中学生が*長崎の面白い言葉」として持って帰る。
これもなんだか面白い。
方言って日常会話から少しずつ減っていくだけではなく、
その土地を表す“言葉の文化”として、別の形で残っていく
こともあるのかもしれません。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の坂や猫、海、そして方言など、この街で暮らしていると当たり前すぎて気にも留めないものをデザインのモチーフにしています。
「やぜか」も、まさにそのひとつ。
私たちにとっては、子どもの頃から普通に聞いて、普通に使ってきた言葉でした。
でも今回、娘たちに聞いてみて初めて、
「あれ?この言葉、もしかして少しずつ使われなくなってる?」
と気づきました。
方言って、誰かが「今日から使うのをやめよう」と決めるわけではありません。
気づかないうちに使う人が減ったり、別の言葉に置き換わったり、それでも意味だけは次の世代に残っていたりする。
そう考えると、何気なく使っている長崎弁も、今のうちに残しておきたい長崎の日常のひとつなのかもしれません。
だからSAKAMACHI SUPPLYでは、「方言を保存しよう」と難しく考えるのではなく、
Tシャツになったり、LINEスタンプになったり。
ちょっと笑えて、普段の生活の中で使える形にできたら面白いと思っています。
「あー、これ言いよった!」
「うちでは今も言うよ!」
そんな会話が生まれるだけでも、その言葉はちゃんと残っていく気がします。
この街の日常が、デザインになる。
「やぜか」もまた、私たちが長崎で暮らしてきた中にあった、何気ない日常のひとつです。

ちなみに我が家では「ばりやぜか!!」はまだ現役です(笑)
SAKAMACHI SUPPLYの「長崎弁ゆるゆるお曲がり猫」LINEスタンプ第1弾にも、しっかり入っています。
「ばりやぜか!!」
作った時には何の疑問もなく「普通の長崎弁」として入れていたんですが・・・
まさか後になって、
「今の小学生、使わんと!?」
という話になるとは思ってもいませんでした(笑)。
「ばりやぜか!!」のほかにも、長崎らしい言葉をゆるいお曲がり猫と一緒に楽しめます。
記事を読んで「やぜか、言いよったな~」と思った方は、普段のLINEで久しぶりに使ってみてください(笑)。
長崎弁を、Tシャツでも。
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎弁をモチーフにしたDIALECT SERIESも展開しています。
「BARI NUKKA!」「TOTTOTTO?」「SUKI BAI」など、長崎では何気なく耳にしてきた言葉をTシャツにしています。
方言を知っている人にはちょっと懐かしく。
知らない人には「これ、どういう意味?」と会話のきっかけに。
長崎のことばを、毎日の一枚に。
そんな楽しみ方をしてもらえたら嬉しいです。
SAKAMACHI SUPPLY「DIALECT SERIES」を見る
まとめ|「やぜか」を使っていたのは、何歳くらいまで?
結局のところ、答えは分かりませんでした(笑)。
でも、それが今回一番面白かったところでもあります。
「やぜか」は長崎弁として残っている。
私たち40代は普通に使って育った。
57歳の姉夫婦世代は、もっと強烈に使っている気がする。
30歳の甥っ子も使っていた。
でも小学生の娘たちは、
「意味は分かる。でも使わん。」
同じ長崎に生まれ育っても、当たり前に使う言葉は少しずつ違う。
そして、それを普段は意識することすらありません。
家族との何気ない会話で、
「そういえば、この言葉って誰が使いよるとやろ?」
と考えてみる。
それだけで、いつも使っている長崎弁が急に面白く見えてきました。
もしかすると方言って、「昔からある言葉」というだけではなく、
その時代を生きた人たちの空気まで残しているものなのかもしれません。
・・・ということで、NAGASAKI MAGAZINE調べでは、
「やぜか」使用率MAX=姉夫婦世代説。
もちろん根拠はありません(笑)。
長崎のみなさん。
あなたは「やぜか」、使いますか?
そして・・・
何歳くらいですか?(笑)
ちなみに姉夫婦世代。
「ばり」では足りないときに、
「ぼり!」
と言います。
・・・これはまた、別の話(笑)。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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