「地獄坂だけ」のつもりだった。長崎・南高地獄坂からピントコ坂へ

「地獄坂」という名前に惹かれて

長崎の地図を眺めていると、ときどき妙に気になる名前を見つけます。

今回見つけたのは、長崎南高校のすぐ近くにある「地獄坂」。

地獄坂。

・・・これは行ってみるしかないでしょう(笑)。

南高周辺は、昔サッカーの試合などで何度も来たことがある場所。ただ、こんな名前の坂があるとは知りませんでした。

調べてみると、長崎県の公式観光サイトでも「長崎南高校の名物坂」として紹介されていて、部活動などの体力づくりに使われることもあるそうです。車も通る生活道路ですが、その名の通りかなりの急勾配です。 【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット

今回はこの地獄坂を下るのではなく、下から登ってみることにしました。


地獄坂へ向かうはずが、いきなり道を間違える

近くに車を停められる場所が見当たらなかったので、今回は妻のお兄さんに車で送ってもらいました。

そして、地図を軽く確認して出発。

・・・したのですが。

さっそく道を間違えました(笑)。

「こっちやろ」と入っていった先が駐車場で、そのまま行き止まり。

戻ります(笑)。

そこから住宅地の細い道を歩いていきます。

こういうとき、目的地へ一直線に行くよりも、途中の道の方が気になったりするのが長崎のまち歩き。

脇を見ると階段。

その先にも細い道。

また別の方向にも坂。

長崎では、目的地へ着く前から誘惑が多すぎます。


古い床屋さんと、猫様

途中、昔ながらの雰囲気が残る床屋さんを発見。

現在営業されているのかは分かりませんでしたが、こういう建物が自然に残っているのも住宅地を歩く面白さです。

そして――

猫様発見。

はい。

この時点でもう来てよかった(笑)。

坂を探しに来ても、猫を見つけた瞬間だけ目的が変わります。

これもいつものことです。


いよいよ南高・地獄坂へ

住宅地を抜けていくと、今回の最初の目的地が見えてきました。

そして――

地獄坂。

写真でも分かりますが、実際に下から見るとなかなかの傾斜。

しかも普通に車が通ります。

もちろんかなりゆっくりですが、「ここ車で行くんや・・・」と思いながら見ていました(笑)。


見覚えのある滑り止め

登り始めて気づいたのが路面です。

六角形のような滑り止めが並んでいます。

これ、以前歩いた赤迫の坂やきゃあまぐる坂でも見たタイプ。

急坂を歩いていると、この路面を見るだけで、

「はいはい。ここ急なところね」

と分かるようになってきました(笑)。

横から見ると、傾斜がさらに分かりやすい。

こんな場所を車が普通に上り下りしているのを見るたび、

長崎には車の底を擦りそうな坂がいったい何本あるんだろう。

そんなことを考えてしまいます。


南高生、ここ走るの?(笑)

昔、サッカーで対戦した長崎南高校といえば、個人的にはとにかくよく走るチームという印象が残っています。

今回この坂を見て、

「まさかここ走ってたりする?」

と思ったのですが(笑)、長崎県公式観光サイトを見ると、実際にこの地獄坂が部活動などの体力づくりに使われることもあるそうです。 【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット

歩くならまだしも。

ここをダッシュ。

・・・無理です(笑)。


地獄坂を登り切る

この日は天気もよく、下にいたときから比較的過ごしやすい気温でした。

さらに山側へ上がってくると、個人的には少し涼しく感じます。

以前、雨の中を歩いた赤迫に比べればかなり快適。

もしかすると、坂に慣れてきたのかもしれません(笑)。

振り返ると、住宅の間から長崎らしい斜面の景色。

そして地獄坂を登り切りました。

よし。

今日の目的達成。

あとは戻るだけ――

のはずでした。


「帰るだけ」のはずが、なぜか反対方向へ

地図を見ると、この先にはもうひとつ気になる名前があります。

ピントコ坂。

本当は別の日に歩いてもいいかなと思っていました。

地獄坂も登ったし、今日はここまで。

そう思っていたはずなのですが。

気づけば、南高方面へ歩いていました(笑)。

まだ体力も残ってる。

天気もいい。

せっかくここまで来た。

・・・行くか(笑)。


ピントコ坂は、旧茂木街道だった

ここから先は、単なる住宅地の坂だと思って歩いていたのですが、調べてみると一気に歴史が深くなります。

ピントコ坂は、旧茂木街道にあたる上小島の墓域から長崎県立長崎南高校正門前まで続く坂道です。 長崎市公式観光サイト[travel nagasaki]

長崎市街と茂木方面を結んだ古い道。

何気なく歩いていた道が、昔から人々が行き来してきた街道だったわけです。


住宅と墓地が混ざり合う道

歩いていて特に印象に残ったのが、この辺りの景色でした。

住宅があって、そのすぐそばに墓地がある。

石仏や地蔵も現れる。

今の住宅地と、昔からそこにあるものが同じ道の中に混ざっています。

目的地だけ見て歩いていたら通り過ぎてしまいそうですが、歩いているとこういう景色が自然と目に入ってきます。


傾城塚とピントコ坂の物語

そしてこの道には、傾城塚(けいせいづか)があります。

長崎市公式観光サイトでは、ピントコ坂の名前についてひとつの悲恋物語が紹介されています。

唐人・何旻徳(か・ぴんとく)が贋金作りの罪で処刑され、彼を慕った丸山の遊女・阿登倭(おとわ)も後を追ったという伝承です。

阿登倭を葬ったとされるのが傾城塚で、「傾城」とは遊女を意味します。

ただし長崎市公式観光サイトも、この何旻徳の話についてはあくまで物語とされていることを明記しています。 

名前の由来にも別説があり、険しい坂を上り下りするときの掛け声「ぴんとこどっこいしょ」から「ピントコ坂」と呼ばれるようになったともいわれています。 

ひとつの坂に、いくつもの話が重なっている。

こういうところも長崎の坂の面白さです。


そして、ピントコ坂へ

傾城塚を過ぎ、そのまま坂を下っていきます。

地獄坂とは少し雰囲気が違って、急なところもあれば、少し緩やかになるところもある。道幅も細く、住宅や墓地の間を縫うように道が続いています。

実はこのときの自分。

どこからどこまでが「ピントコ坂」なのか、ちゃんと分かっていませんでした(笑)。

予定では地獄坂だけを歩くつもりだったので、ピントコ坂についてはほとんど下調べをしていません。

「この辺なんかな?」

くらいの感覚で、そのまま下っていきます。

下りなので楽だし、天気もいい。

住宅の間から長崎の街も見える。

これがなかなか気持ちいい。

そしてそのまま、どんどん下へ。


・・・あれ? ピントコ坂ってどこだった?(笑)

しばらく下り、墓地のある辺りまで来たところでふと思いました。

「ん? ピントコ坂ってどこやった?」

ここで初めて、ちゃんと地図を確認。

すると――

もう通り過ぎてました(笑)。

どうやら傾城塚の辺りから、自分はすでにピントコ坂を歩いていたようです。

※この動画は、ピントコ坂を下り切ったあと、今回いちばん下まで歩いた墓地付近の様子。

長崎市公式観光サイトによると、ピントコ坂は上小島の墓域から長崎南高校正門前まで続く旧茂木街道の坂道で、坂の下部と南高前には表示板があるとされています。長崎市公式観光サイト[travel nagasaki]

ただ今回は完全に行き当たりばったり。

歩いている途中では「ここからピントコ坂!」という感覚がないまま、

気持ちよく歩いていたら、いつの間にかピントコ坂を通過していた。

という結果になりました(笑)。

まあ、これも予定外のまち歩きということで。


下ったということは、登らないと帰れない

ここで大事なことに気づきます。

車は上です。

つまり。

今下った分、全部登って戻ります。

地獄坂を登ったときは、

「今日は結構余裕あるな」

なんて思っていました。

撤回します(笑)。

長く続く緩やかな登り。

そして最後にまた傾斜がきつくなる。

結局いつものように、

汗だく。

坂歩きの記事、だいたい最後これです(笑)。


歩くときは、ちょっとだけご注意を

南高地獄坂もピントコ坂も、観光のためにつくられた場所ではなく、地域の方が日常的に暮らしている住宅地の中にある道です。

歩く際は大きな声を出したり、住宅の前で長時間立ち止まったりせず、地域の方の迷惑にならないよう静かに楽しみたいところです。

また、道幅がかなり狭い場所もありますが、地獄坂を含めて普通に車が通ります。

歩行者側も車の接近に注意し、車で通る場合も歩行者や対向車には十分注意が必要です。

そして今回は晴れていましたが、急な坂道だけに雨の日は特に注意。

以前、雨の日に赤迫の急坂を歩いたあとだからこそ余計に感じましたが、濡れた路面では滑りやすくなる場所もあります。無理をせず、足元には十分気をつけて歩いてください。

そしてもうひとつ。

ピントコ坂は下りが気持ちいいので要注意です(笑)。

調子よくそのまま下っていると、

「もうちょっとだけ」

「もうちょっとだけ・・・」

と、どんどん下へ。

気づいたら下の電停方面まで行きかねません(笑)。

公共交通機関で来たならそれもアリですが、車を上に置いてきた人は特に注意。

下った分だけ、

帰りは登ります(笑)。


SAKAMACHI SUPPLY的な視点

今回歩いた南高の地獄坂とピントコ坂。

同じ長崎の坂でも、印象はかなり違いました。

地獄坂は、短い距離の中に「急坂を登る」面白さが凝縮された坂。

一方のピントコ坂は、坂そのものだけでなく、旧茂木街道としての歴史や墓地、石仏、住宅地の景色まで含めて道を歩くこと自体が面白い坂でした。

SAKAMACHI SUPPLYで坂をモチーフにしていると、どうしても「坂の形」や「名前」に目が行きます。

でも実際に歩いてみると、その坂の周りにある暮らしや歴史、途中で出会う猫まで(笑)、全部ひっくるめてその場所の個性なんだと思います。

坂の先に、おもしろさがある。

今回の道は、まさにそんな歩き方になりました。


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まとめ|「地獄坂だけ」のつもりだった

今回は地図で見つけた「地獄坂」を登る。

それだけの予定でした。

道を間違えて。

猫に会って。

地獄坂を登って。

帰るつもりが反対方向へ歩いて。

ピントコ坂を気持ちよく下って。

下りすぎて。

最後は全部登って帰る(笑)。

予定通りではなかったけれど、結果的にはそれが一番面白かった気がします。

ただし、南高地獄坂もピントコ坂も、観光用につくられた道ではなく、地域の方が日常的に利用する生活道路です。道幅が狭く車が通る場所もあるため、歩く際は通行を妨げず、撮影するときも周囲への配慮を忘れずに。

そしてピントコ坂。

下りは本当に気持ちいいです。

気持ちいいんですが――

車を上に置いている人は、調子に乗って下りすぎないことをおすすめします(笑)。

そのまま崇福寺方面まで行きたくなりますが、

帰りは当然、

登りです。


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この記事を書いた人

道下 真悟(みちした しんご)

有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士

長崎生まれ、長崎育ち。

Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。

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