
何度も通ったのに、ちゃんと見たことがなかった
何度も通ったことがある場所なのに、ちゃんと見たことはない。
そんな場所って、意外と多いのかもしれません。
以前書いた女神大橋の記事を見返していたとき、ふと思いました。
「そういえば、旭大橋も何回も通っとるな。」
仕事で通ったり、子どもたちと稲佐山へ遊びに行くときに通ったり。
車では数えきれないくらい渡っていますし、歩いて渡ったことも2、3回はあります。
でも、そのときは目的地へ向かうために通っただけ。
橋そのものをちゃんと見た記憶は、ほとんどありません。
だったら今回は、旭大橋を「渡るため」ではなく、旭大橋を見るために歩いてみよう。
長崎駅側の駐車場に車を停め、歩き始めました。
ところが、この日のまち歩き。
旭大橋だけでは終わりませんでした。
何度も通った旭大橋を、今日はゆっくり歩く
旭大橋は、長崎駅周辺と旭町・稲佐方面をつなぐ橋。
車で通れば、本当にあっという間です。
何度も通っているので見慣れているはずなのですが、歩いてみると印象がかなり違いました。
まず特徴的なのが、歩道が橋の端から端まで、そのまま橋の上を続いているわけではないこと。
長崎駅側から歩くと、最初は橋の下側に沿うように進み、途中の階段から橋上へ。
そこから長崎港側に設けられた歩道を歩き、旭町側でも橋を渡り切る少し手前で階段を下りていきます。


そして橋の上へ。

車では何度も通っている場所。
でも、歩いてみると見えるものが全然違います。
車では見ていなかった、旭大橋からの長崎
歩道から見えるのは長崎港。
その先には女神大橋。
そして稲佐山もよく見えます。


「ここ、こんなに景色よかったんや。」
何度も車で通っていたのに、そんなことを考えながら写真を撮っていました。
たぶん周りを歩いていた人たちとは、完全に違うテンションだったと思います(笑)。
この日、旭大橋を歩いている人は思っていたより多くいました。
ただ、女神大橋を歩いたときとは少し雰囲気が違います。
景色を眺めたり、写真を撮ったり、ウォーキングを楽しんだりというより、皆さんそれぞれの目的地へ向かって歩いているように見えました。
「橋を楽しむ」というより、「橋を使う」。
歩いてみて、そんな印象を持ちました。
観光の橋というより、暮らしをつなぐ橋
もちろん女神大橋にも、交通を支える大切な役割があります。
ただ、実際に歩いたときには、橋そのものや景色を楽しめる場所という印象も強く残りました。
一方、今回旭大橋を歩いて感じたのは、
「これは生活のための橋なんだな」
ということでした。
旭町・稲佐方面から長崎駅側へ向かう人。
仕事へ向かう車。
日常的に橋を渡る人。
そんな姿を見ていると、普段当たり前に使っているこの橋の存在が、急に大きく感じられます。
歩きながら、
「雪なんかでここが通れなくなったら、かなり大変やろな……」
とも思いました。
普段は「橋があること」なんて、ほとんど意識しません。
でも使えなくなったときに初めて、その便利さや大切さに気づくのかもしれません。
昭和57年1月竣工。歩いたから見つけたもの
旭町側へ下り、車道が下り切ったあたりで、一つのプレートが目に入りました。

そこに刻まれていたのは、
「昭和五十七年一月竣工」
の文字。
昭和57年は1982年です。
つまり、このプレートには40年以上前の日付が刻まれていることになります。
何度も車で通ってきた旭大橋。
それなのに、こんなプレートがあることさえ知りませんでした。
これも、車ではなく歩いたから気づいたものの一つです。
・・・ちょっと物足りない(笑)
旭大橋を渡り終えました。
景色もよかった。
写真も撮れた。
当初の目的は、これで達成です。

ただ、一つ問題がありました。
まだ歩き足りない(笑)。
旭大橋は歩いてみると、思っていた以上にあっという間でした。
せっかくここまで来たのでGoogleマップを開いて、近くに何かないか見てみます。
すると、少し先に気になる場所を発見。
鳥岩神社。
地図を見る限り、ちょっと上りそう。
でも少し前には相生の地獄坂も歩いています。
「まあ、あれ経験しとるし余裕やろ。」
このときは、本当にそう思っていました。

鳥岩神社へ。完全に階段をなめていました
鳥岩神社を目指して住宅地へ入っていきます。
そして始まったのが、
階段。

また階段。

そして、また階段。

・・・これ、地獄坂よりきつくない?(笑)
少し前に歩いた相生の地獄坂周辺には、現在、グラバースカイロードの斜行エレベーターや垂直エレベーターがあります。
長崎市によると、南大浦地区ではもともと急斜面に住宅が密集し、住民が日常的に長い階段を上り下りしていたことから、斜面地の移動環境を改善するためにグラバースカイロードが整備されました。
一方、今回歩いた鳥岩神社周辺には、少なくとも自分が歩いたルートでは、そうした近代的な移動手段は見当たりません。
階段を上って、曲がって、また階段。
こっちの方がきつくない?
地獄坂を経験したから大丈夫だろうと、完全に油断していました(笑)。
ようやく着いた鳥岩神社。でも、上から?
階段を上って、また上って。
汗だくになりながら進んでいくと、ようやく鳥岩神社にたどり着きました。
ただ、最初に目に入った景色が少し想像していたものと違います。

目の前にあったのは、木々に囲まれた小さな広場と、その先に並ぶ赤い鳥居。
さらに向こうには、長崎の街と港も見えます。
「あれ? 神社に着いたけど・・・上から入ってきた?(笑)」
どうやらGoogleマップで大体の方向だけ確認しながら階段を上ってきた結果、鳥居をくぐって下から入るのではなく、神社の上側へ出てきたようです。
まあ、着いたからよし(笑)。
上から写真を撮ったあと、広場へ下りてみました。
ここまで延々と階段を上ってきたので、さすがに少し休憩。
木陰でひと息つきながら景色を眺めます。
階段の途中では「まだ上るんか・・・」しか考えていませんでしたが(笑)、こうして立ち止まってみると、ここまで来てよかったと思える場所でした。
鳥居をくぐって下へ・・・の前に、なぜかもう一度上る(笑)
休憩したあとは、広場から連なる鳥居をくぐって下りていきます。

ここでようやく、自分が上ってきた方向とは違う、鳥居の続く道へ。
そのまま下って帰る・・・
はずでした。
一度鳥居を抜けて下へ出たところで、ふと思います。
「これ、下から見たら鳥居が連なって結構いい感じなんじゃ?」
せっかくなので、少しだけ登り直しました(笑)。

さっきまで、
「階段きつい・・・」
と言いながら上ってきたのに、写真を撮るためなら自分からもう一度上る。
我ながら何をしているんでしょう(笑)。
でも、下から階段を上りながら見ると、赤い鳥居が次々と重なる景色がよく分かります。
写真だけではなく、歩いてくぐっていく様子も動画に残してみました。
写真と動画を撮り終えたところで、今度こそ下へ。
階段を下りながら、鳥居を後にしました。
鳥居を下りた先にも、まだ知らない道が続く
ここから再び住宅地を歩いていきます。
階段や坂が続き、その途中から細い道がいくつも分かれています。
昔ながらの住宅。
石垣。
階段。
そして脇道。
最近歩いた深堀の旧道にも少し似ています。
ただし、こちらは「坂と階段版」。
感覚としては、
「相生の地獄坂と、深堀の旧道を合わせたような場所」
でした。

どこへつながっているのか分からない道が何本もあり、
「こっちでも下りられるんかな?」
と気になる場所ばかり。
今回だけでは全然歩き足りません。
ここは鳥岩神社周辺だけを目的に、また改めて歩いてみたい場所になりました。
そして、そのまま下の方へ歩いていくと・・・
思いがけない場所へ出ました。
適当に下りた先で、「正規ルート」に出た?
帰りは、地図を何度も確認するでもなく、とりあえず下の方へ。
そんな感じで歩いていると、大きな鳥居のところへ出ました。

「あれ? こっちが正規ルートやったんかな?(笑)」
そして、その近くで目に入ったのが、道永栄(エイ)について書かれた説明板でした。

幕末から明治・大正期にかけて、長崎の稲佐周辺はロシアとの交流が深かった地域。
説明板を読むと、道永栄もその歴史と関わりの深い人物だったことが分かります。
何も知らずに階段を下りてきて、偶然こんな場所へ出る。
これも、まち歩きの面白さです。
正規らしい道を通らず神社へ行った自分を、最後はちゃんとここへ連れてきてくれたのでしょうか。
神様が導いてくれたことにしておきます(笑)。
そして気づく。「車、長崎駅側やった・・・」
鳥岩神社周辺を歩き終えました。
楽しかった。
でも疲れた。
汗も止まりません。
「いやー、歩いたなあ。」
・・・そこで、現実を思い出します。
車、長崎駅側やった。
目の前には、さっき渡ってきた旭大橋。
つまり、
もう一回渡らないと帰れません(笑)。

疲れた足を動かして、再び旭大橋へ。
行きは景色を見ながら写真を撮っていた橋が、今度は完全に「目的地へ向かうための橋」になりました。
さっきまで旭大橋を歩いていた人たちの気持ちが、ちょっと分かったような気がします(笑)。
なのに、なぜか長崎駅前の歩道橋まで行く
ようやく長崎駅側へ戻ってきました。
駐車場も、もうすぐ。
普通なら、そのまま車へ向かうところです。
なのに、なぜかこのとき、
「そういえば長崎駅前の歩道橋って、改めて見ると結構でかいよな。」
と思ってしまいました。
・・・行きました(笑)。
汗を拭きながら、そのまま長崎駅方面へ。
そして歩道橋へ。

普段は月に一度くらい、この辺りを通ります。
でもそれも、目的地へ向かうため。
今回は立ち止まって、改めて周りを見てみました。
下には路面電車。
バスや車が行き交い、駅へ向かう人たちが歩いています。

先日、深堀の旧道で歩いた歩道橋とは、規模も周囲の景色もまったく違います。
高校生の頃から歩いてきた場所。そして変わり続ける長崎駅
高校生の頃、自分はバスと路面電車を使って通学していました。
長崎駅で毎日のように乗り換え、この辺りの歩道橋も何度となく歩いています。
それから長い年月が経ち、長崎駅周辺の景色は大きく変わりました。
歩いてみると、
「この辺は高校生の頃に歩いていた感じが残っとるな。」
と思う場所もあります。
もちろん、補修や改修などは行われているでしょうし、当時のままなのかは分かりません。
それでも自分の記憶の中では、昔とつながる部分があります。
一方、現在の駅前には新しい景色も生まれています。
長崎市によると、従来の長崎駅前高架広場に替わる新しい歩道橋(南北接続デッキ)が2026年5月15日に供用開始しました。延長93m、幅3.0~4.5mで、駅前再整備の一環として造られたものです。

最近も近くを通っているはずなのに、
「こんなんなっとったんや。」
と、ここでもまた新しい発見がありました。
今日見た長崎駅も、いつか「昔の景色」になる
歩道橋から下を見ると、現在も工事が続いています。

長崎市では現在も長崎駅東口周辺の再整備を進めており、新歩道橋の完成後も多目的広場や交通広場などの整備が続いています。長崎駅東口駅前広場全体の完成は、2027年夏ごろの予定です。
今日撮ったこの工事中の景色も、数年後に見返したら、
「この頃はまだ工事しよったね。」
となるのかもしれません。
街が便利に、新しくなっていく。
それは楽しみなことです。
でも、高校生の頃から知っている場所だけに、昔の景色が少しずつなくなっていくことには、ちょっとした寂しさも感じます。
そう考えると、完成した街だけではなく、変わっている途中の長崎を写真に残しておくことにも意味があるのかもしれません。
そんなことを考えながら、今度こそ駐車場へ戻りました。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
今回のスタートは、本当に単純でした。
「何度も通った旭大橋を、ちゃんと歩いてみよう。」
それだけです。
でも旭大橋を歩いたことで鳥岩神社を見つけ、階段を上り、知らなかった路地を歩き、最後には長崎駅前の歩道橋まで歩いていました。
振り返ってみると、この日歩いた場所には一つの共通点がありました。
どこも、誰かにとっての「通り道」だったこと。
旭大橋は、長崎駅側と旭町・稲佐方面をつなぐ生活の道。
鳥岩神社周辺の階段や坂は、斜面地で暮らす人たちの道。
長崎駅前の歩道橋は、多くの人が駅や電停、街へ向かうための道。
そして自分自身も、高校生の頃から何度もその道を「目的地へ行くため」に歩いてきました。
でも、目的地へ向かうことをやめて、道そのものを見ながら歩いてみると、今まで見えていなかったものがたくさんありました。
何度も通った“ただの道”を、今日はちゃんと見ながら歩いてみた。
それだけで、いつもの長崎が少し違って見えます。
有名な観光地だけではなく、橋や階段、路地、歩道橋。
そんな日常の中にも、その街らしい景色があります。
この街の日常が、デザインになる。
今回のまち歩きは、その言葉を改めて感じる時間になりました。
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長崎を知っている人には「懐かしい」。
長崎を知らない人には「なんだろう?」と思ってもらえる。
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まとめ|旭大橋だけのつもりが、1時間を超えるまち歩きに
旭大橋を歩くだけ。
最初は、そのつもりでした。
ところが橋を渡り終えると少し物足りなくなり、鳥岩神社を見つけて階段を上り、知らない脇道を歩き、再び旭大橋を渡り、なぜか最後は長崎駅前の歩道橋まで。
今回も、
体感30分。
実際は、
1時間以上(笑)。
でも、この「予定通りにいかない感じ」が、最近はまち歩きの一番面白いところなのかもしれません。
何度も通った旭大橋も、ちゃんと歩いてみると、これまでとは違って見えました。
そして、その先には知らなかった長崎がありました。
次は鳥岩神社周辺。
今回気になった脇道や階段を、もう少しじっくり歩いてみたいと思います。
また体感30分で帰ってこられるかは分かりませんが(笑)。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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