
女神大橋の下、ずっと気になっていた鳥居へ
女神大橋の下を車で通るたび、妻と気になっていた鳥居があります。
「あの鳥居、なんやろね?」
以前、一度だけ近くまで行ってみたこともありました。
ところが、その先には高いフェンス。
「・・・これ、どうやって行くん?」
結局その日は諦め、それからすっかり忘れていました。
一方、以前NAGASAKI MAGAZINEで女神大橋を歩いたとき。
橋の上から、山の上にある神社が見えました。

この写真を撮りながら、
「こんなところに神社あるんやね」
「いつか行ってみたいね」
と妻と話していました。
そして最近、Googleマップを眺めていたときのこと。
「ん?」
「え?」
山の上に表示されていたのは、
「神崎神社(こうざきじんじゃ)」
そして、以前から気になっていた海沿いの鳥居のところにも――
「神崎神社」。
「これ・・・同じ神社やん!!」
しかも「神崎神社」は、てっきり「かんざきじんじゃ」と読むものだと思っていたんですが、読み方は「こうざきじんじゃ」。
場所だけじゃなく、読み方まで知らなかった(笑)。
ずっと別々の場所だと思っていた二つが、ここで初めて一本につながりました。
こうなると、もう行ってみるしかありません(笑)。
まずは、女神大橋の下から
今回は妻と子どもたちも一緒。
まず戸町側から、いつも気になっていた鳥居の方向を一枚撮ってみました。

ここから見ると、向こう岸の山の中。
「あそこへ行くのか・・・」
とは思うものの、この時点ではまだ、それほど大変な場所だとは思っていません(笑)。
車で女神大橋を渡って木鉢側へ。
料金所を過ぎた先から脇道へ入り、行けるところまで車で進みます。
駐車できる場所から、いよいよ徒歩で神崎神社へ向かいました。
「これ……まあまあ山じゃない?」(笑)
最初は妻と子どもたちも一緒に歩いていました。
ところが、まだ序盤。
妻から、
「これ・・・まあまあ山じゃない?」
「きつくない?」
「暑くない?」
「子ども無理じゃない?w」
そんな空気になってきます(笑)。
子どももちょっとぐずり始めたところで、
「車に戻っとくわw ごゆっくり~」
ということで、早々に一人旅になりました(笑)。
結果から言えば――
ここで戻ってもらって正解でした。
このあと、まさかあんな道になるとは、この時点では自分も知りません。

女神大橋をくぐって、神崎神社へ
ここからは、以前女神大橋を歩いたときにも通った道。
橋の脇を歩き、巨大な女神大橋の下をくぐります。


車で渡る女神大橋とも、橋の上を歩く女神大橋とも違う。
真下から見ると、その大きさがさらによく分かります。
女神大橋は長崎市南部と西部を結ぶ橋で、橋の下には大型船が通れる高さが確保されています。普段見慣れている橋ですが、場所を変えて見るとまったく違う構造物に見えてきます。
橋をくぐって反対側へ。
そこからさらに橋の脇を下っていくと、神崎神社へ続く階段が現れました。

山の上の神崎神社へ
階段を上っていくと、鳥居が見えてきます。

ここが、以前女神大橋の上から見ていた神崎神社。
ついに、あの写真の場所まで来ました。

前回は女神大橋からこちらを見ていた。
今回は神崎神社から女神大橋を見る。
同じ場所を反対側から見ているだけなのに、なんだか不思議な感じです。
そして実際に来てみると、女神大橋と神社の距離が本当に近い。
橋と同じくらいの高さから、長崎港を見渡すことができます。
この上の神社までなら、階段も比較的分かりやすく、今回歩いた印象では「思っていたより来やすい場所だな」と感じました。
もちろん坂道や階段なので注意は必要ですが、この時点ではまだ普通のまち歩きの延長。
問題は、ここからでした(笑)。
神崎神社は、長崎港を見守ってきた場所だった
今回記事を書くにあたって調べてみると、この場所には思っていた以上に長い歴史がありました。
長崎市の資料によると、現在女神大橋が架かる長崎港口では、かつて西側を「男神」、東側を「女神」と呼んでいたといいます。
そして男神側にある神崎神社は、航海の神として、長崎へやってきた唐人たちの信仰も集めていたそうです。唐船は神崎神社の前で船を止め、祈りを捧げたとも紹介されています。
さらに、この周辺には長崎港を守るための「神崎台場」も置かれていました。長崎市の資料では、現在の神崎神社境内の大部分が神崎台場跡にあたり、石倉跡などが残るとされています。
今では頭上を女神大橋が通っています。
でも、そのはるか前からここは、長崎港を出入りする船を見つめてきた場所だったんですね。
実際にここから海を見ると、
「なるほど、ここは長崎港の入口なんだ」
ということを、景色そのものから感じます。
そして、海沿いの鳥居へ
さて。
今回、本当に行ってみたかったのはここからです。
神社の先を見ると、下へ続く階段があります。
「なんだ、ちゃんと階段あるやん。」
このときは完全に余裕でした(笑)。

最初の階段は比較的分かりやすく、そのまま下っていくと少し広くなった場所へ出ました。
そこには祠のようなものもあります。

ところが――
ここで道が消えました。
「え?」
「ここまで?」
「もしかして、下まで行けんの?」
しばらく周囲を見ても、階段らしいものが見つかりません。
さすがに人が通らなくなって、道がなくなったのかな。
そう思って、一度は戻りかけました。
「……これ、階段やん」(笑)
もう一度よく見てみると、木々の間をぐねっと曲がるように続く場所があります。
よーく見ると――
階段でした。
石段はある。
でも、その上には落ち葉がかなり積もっています。
場所によっては足元も分かりにくい。
「ここ……行くん?」
少し迷いました。
幸いこの日は、滑りにくいトレッキング系の靴。
一人だったこともあり、
「無理だと思ったらすぐ戻ろう」
と決めて、かなり慎重に下りてみることにしました。
ここからは、もう「散歩」という感じではありませんでした。
「上る」ではなく、「登る」場所
これまでNAGASAKI MAGAZINEでは、相生地獄坂をはじめ、長崎の坂や階段をいろいろ歩いてきました。
でも、今回の神崎神社から海側へ続く道は、ちょっと違いました。
神社から階段を下り始めた最初のうちは、
「なんだ、こんな感じなら普通に行けそうやん。」
くらいに思っていました。
ところが少し下ると、道の雰囲気が一気に変わってきます。
途中には、小さな祠のようなものがいくつも並んでいる場所がありました。

周囲は木々に覆われ、足元には落ち葉。
それでも、こうしたものが残っているのを見ると、ここが単なる山道ではなく、人が神社へ向かうために歩いてきた道だったことを感じさせます。
さらに下っていくと――
木々の中に、今度は鳥居が現れました。

「こんなところにも鳥居があるんや……。」
海沿いの鳥居を目指して下っている途中なのに、その道中にも鳥居がある。
このあたりから、ただ山を下りているというより、山の中に残された参道を辿っているような感覚になってきました。
ただし、道は決して歩きやすくありません。
階段そのものは残っているものの、落ち葉に覆われて一瞬どこが段なのか分かりにくい場所もあり、石や木の根、段差もあります。
場所によっては、一歩ずつ足元を確認しながら慎重に進みました。
下っているだけなのに、途中から足がパンパン。
おそらく急な場所で滑らないよう、ずっと足に力を入れて踏ん張っていたんだと思います。
これまで歩いてきた長崎の坂や階段は、
「上る」。
でも今回の道は、
「登る」。
自分の中では、そのくらい違いました。
これはもう、まち歩きというよりトレッキングに近い。
しかもこの時の自分は、まだ帰りにこの道を全部登り返すことになる現実を、あまり深く考えていません(笑)。
完全に余裕をかましていました。
反省です(笑)。
木々の向こうに、海が見えた
慎重に下っていくと、少しずつ木々の間から青い海が見えるようになってきました。

そして、その少し先。
木々の向こうに――
鳥居が見えました。
「あった……!」
何度も対岸から見ていた鳥居。
一度近くまで行って、フェンスに阻まれて諦めた鳥居。
それが今、自分の真下にあります。
ここは正直、テンション爆上がりでした(笑)。
ずっと気になっていた鳥居に、ついに着いた
下の方まで来ると落ち葉も少なくなり、石段も比較的分かりやすくなってきました。
そして最後の階段を下りると――

着きました。
ずっと気になっていた、あの鳥居。
そして振り返ると――

女神大橋。
これはすごかった。
いつも車で渡っている橋。
以前は橋の上から神崎神社を見た。
今度はその神社を下りきって、海のすぐそばから橋を見上げている。
同じ女神大橋なのに、まったく違う橋に見えます。
数分間、写真を撮ったり動画を撮ったりしながら、ただ景色を眺めていました。
今回ここまで来て、
本当に、本当に来てよかった。
そう思いました。
過去一、足にきました(笑)
海沿いでしばらく景色を眺め、写真や動画を撮って。
最高の気分を味わったあと、ふと後ろを振り返ります。
そして気づきました。
「・・・これ、全部登って帰るんよね?」
そうなんです。
いつものまち歩きでは、坂や階段を先に上って、帰りは下ることがほとんど。
でも今回は逆。
先に下ってきてしまった。
帰るためには、さっき慎重に下ってきた急な階段を、今度は全部登らなければなりません。
一瞬、
「船とか通らんかな。誰か乗せてくれんかな・・・」
とか、本気でどうでもいいことを考えました(笑)。
もちろん船は来ません。
少し休憩して、呼吸を整えて。
意を決して、登ります。
・・・。
きつい(笑)。
下りの時点で、滑らないようにずっと足を踏ん張っていたせいか、すでに足はパンパン。
しかも場所によってはかなり急で、帰りは階段を普通に歩いて上るというより、上の段や岩に手をつきながら体を持ち上げるように登ったところもありました。
何度も立ち止まって休憩。
また少し登って、休憩。
ここまでNAGASAKI MAGAZINEで相生地獄坂をはじめ、いろいろな坂や階段を歩いてきましたが、疲労感と足腰へのダメージは間違いなく今回が過去一でした(笑)。
そして今回ばかりは、
「妻と子ども、来なくて本当によかった・・・」
と思いました。
妻と二人だったとしても、おそらく途中で海沿いまで行くのを諦めていたと思います。
一人だったからこそ、好奇心が勝って最後まで行けたのかもしれません。
ようやく上の神社まで戻り、そこから女神大橋の下を通って車へ。
着いたときには、
汗だくだくだくだく(笑)。
車で待っていた妻たちの反応は、若干苦笑い。
そのまま15分くらい、車の中で呼吸を整えていました(笑)。
そして、この記事を書きながら写真を見返していて気づきました。
帰り道の写真が、一枚もありません。
いつもなら「帰りに違う角度からも撮っておこう」とか考えるんですが、今回はそんな発想が一ミリも残っていませんでした。
写真を撮る余裕すらなかった。
たぶん、それが今回の道のきつさを一番よく表している気がします(笑)。
写真を見せたら、妻も「これはすごい」
帰ってから、今回撮った写真や動画を妻に見せました。
すると、
「これはすごいね!」
さすがに感動していました。
そうなんです。
かなり大変だった。
でも、それ以上に、
行った人にしか分からない景色がありました。
前回、女神大橋から「あそこ行ってみたいね」と眺めていた場所。
ずっと対岸から「あの鳥居なんやろね」と話していた場所。
その二つが同じ神崎神社だと知り、自分の足でその間を歩いた。
今回のまち歩きは、自分の中でもかなり印象に残るものになりました。
このルートは、気軽にはおすすめしません
ここは今回、かなり大事なので書いておきます。
上側の神崎神社と、そこから海沿いへ下るルートは、同じ感覚で考えない方がいいと思います。
少なくとも今回自分が歩いた時点では、上側までは比較的道や階段が分かりやすかった一方、海沿いへ向かう途中には落ち葉が積もった急な石段や、足元が分かりにくい場所がありました。
そして、下った分だけ帰りは登らなければなりません。
今回、自分はトレッキング系の滑りにくい靴を履き、明るい時間帯に歩きました。それでもかなり慎重に進みました。
また山中なので、野生動物がいる可能性も考えて行動した方がいいと思います。
この記事を見て、気軽な観光や散歩の感覚で海沿いまで向かうことはおすすめしません。
現地の状況は今後変わる可能性もあります。立入禁止の表示や柵などがある場合は絶対に入らず、天候や体調、装備を含めて無理をしないことが一番です。
今回も、
「行けるところまで。危ないと思ったら戻る。」
それを前提に歩きました。
翌朝、いつもの道から見てみたら(笑)
そして、このまち歩きにはちょっとした後日談があります。
歩いた翌日の朝。
妻を車で送るため、いつものように女神大橋の下を通りました。
朝は渋滞することも多く、この日も車はゆっくり。
そこで二人して、昨日歩いた神崎神社のある山を眺めていました。

上に見えるのが、女神大橋とほぼ同じ高さにある神崎神社。
そして海沿いにあるのが、ずっと対岸から気になっていた鳥居。
昨日の自分は、
あそこから、あそこまで下りて。
そして、
また全部登って戻った。
改めて外から眺めてみると――
「・・・よう歩いたな(笑)」
妻と二人で、
「普通に登山やん(笑)」
と笑ってしまいました。
前日は山の中にいたので、自分がどれくらいの高低差を移動しているのか、正直あまり実感できていませんでした。
でも翌朝、いつもの場所から山全体を眺めてみると、
「そりゃ足パンパンになるわ(笑)」
と妙に納得。
そして何より不思議だったのが、この景色です。
女神大橋の下は、これまで何度も何度も車で通ってきました。
あの鳥居も、何度も見ていました。
でも今は、その鳥居を見ると、
その上に続く山の中の階段も、途中にあった祠のようなものも、鳥居も、そして山の上の神崎神社まで頭の中でつながります。
昨日までと同じ景色なのに、もう自分には少し違って見える。
実際に歩いてみるって、こういうことなのかもしれません。
※写真では位置関係が分かりやすいよう矢印を直線で示していますが、実際には山の中を曲がりくねった急な階段が続きます。もちろん帰りは、その道をすべて登り返しました(笑)。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
今回の始まりは、二つの「気になる場所」でした。
女神大橋の下を通るたびに見えていた、海沿いの鳥居。
そして女神大橋を歩いたとき、山の上に見えた神崎神社。
どちらも何度も見ていました。
でも、ずっと別々の景色でした。
それがGoogleマップを見たことで、
「これ、同じ場所につながってるんや。」
と気づいた。
そして実際に歩いてみると、さらにその先には、地図だけでは分からない景色がありました。
女神大橋から神崎神社を見る。
神崎神社から女神大橋を見る。
さらに山を下り、海沿いから女神大橋を見上げる。
同じ橋、同じ神社なのに、立つ場所が変わるだけで景色はまったく違いました。
普段見ている長崎にも、まだ知らない角度があります。
「あれ、なんやろ?」
そんな小さな疑問を、そのままにしないで歩いてみる。
そこから思いがけない場所へつながることがある。
今回の神崎神社は、まさにそんな場所でした。
この街の日常が、デザインになる。
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長崎を知っている人には「懐かしい」。
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まとめ|「いつか行ってみたい」が、本当に行った場所になった
以前、女神大橋の上から撮った一枚の写真。
「あそこ、いつか行ってみたいね。」
妻とそんな話をしていました。
そして対岸から何度も見ていた、海沿いの鳥居。
「あれ、なんやろね?」
二つの小さな疑問が、今回一本につながりました。
実際に歩いてみると、想像していたよりずっとハード。
これまで地獄坂をはじめ、長崎の坂や階段をいろいろ歩いてきましたが、疲労感と足への負担は自分の中では今回が過去一でした(笑)。
それでも――
海沿いの鳥居に着いて、目の前に海が広がり、頭上に女神大橋を見た瞬間。
「来てよかった。」
心からそう思いました。
ただし、もう一度書きます。
海沿いまでのルートを、気軽にはおすすめしません(笑)。
今回の経験で、自分自身も改めて、
「知らない道は余裕を持って。装備もちゃんと。」
と思いました。
そして何より無理をしない。
NAGASAKI MAGAZINEを続けるためにも、無事に帰ってくることが一番です(笑)。
それにしても――
前回は女神大橋の上。
今回は女神大橋の下。
同じ場所なのに、まだまだ知らない長崎がありました。
次はどこで、
「ん? あれなんやろ?」
が見つかるのか。
また歩いてみたいと思います。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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