
いつも通り過ぎていた場所で、ふと車を停めた
長崎市中心部から南へ向かう途中、小菅町にある「小菅修船場跡」。
通称、そろばんドック。
存在自体は小さい頃から知っていましたし、この辺りは普段から車でよく通る場所です。
でも、ほとんどの場合はそのまま戸町トンネルへ。
わざわざ車を停めて、この辺りを歩いた記憶はほとんどありません。
この日も、本当ならそのまま会社へ戻るつもりでした。
ところが朝から用事を済ませて会社へ向かっている途中、天気は快晴。
真夏らしい青空を見ながら走っていると、目の前にそろばんドックが見えてきました。
「せっかく天気もいいし、ちょっとだけ見てみようかな。」
そんな軽い気持ちで車を停めてみました。
最近、長崎の街を記事にするようになってからでしょうか。
今までならそのまま通り過ぎていた場所でも、なぜかちょっと歩いてみたくなるんですよね。

真夏の昼だからこそ感じた、小菅の空気
訪れたのは、真夏の真昼間。
日差しは強く、空はこれでもかというくらい真っ青。
普通なら「もう少し涼しい時間に来ればよかった」と思いそうな時間帯です。
でも、この日の小菅は、この暑さだからこそ良かった気がします。
青い空。
海から吹いてくる風。
水面が揺れる音。
そして、ときどき聞こえてくる周辺の工場の音。
観光地のような華やかさがあるわけではありません。
むしろ、静かな海と古い建物、レールや機械、工場の風景がそのまま残っている。
それが妙に心地いい。
どこか昭和や平成初期の夏休みを思い出すような。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、なんとなくジブリの世界に入り込んだような。
そんな懐かしい感覚になりました。

「そろばんドック」って、実はすごい場所だった
普段から名前は知っていた「そろばんドック」。
正式名称は小菅修船場跡(こすげしゅうせんばあと)といいます。
小菅修船場は、幕末から明治へと時代が大きく動く中で建設され、1869年に完成した近代的な船舶修理施設です。
船を陸上へ引き揚げるための滑り台に並んだ台車が、そろばんの玉のように見えたことから「そろばんドック」と呼ばれるようになったとされています。
薩摩藩士の五代友厚や小松帯刀、そして長崎と深い関わりを持つトーマス・グラバーらが、その建設に関わりました。

現在も曳揚げ小屋や機械、軌道、石垣などが残されていて、この場所がかつて船を修理する施設として使われていた当時の面影を見ることができます。

小菅修船場跡は国の史跡に指定されているほか、現在は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつにもなっています。
……。
小さい頃から普通に「そろばんドック」と呼んでいましたが、
思っていた以上にすごい場所でした(笑)。
長崎に長く暮らしていても、知っているようで知らない場所って、まだまだあります。

レールの先に海がある風景
個人的に、この日いちばん印象に残ったのがこの風景でした。
地面に残るレール。
その先には海。
さらに奥には工場やクレーン、長崎の山。
ここがかつて船を引き揚げ、修理していた場所だったことを知ってから見ると、また少し違って見えます。

現在も残る軌道や曳揚げ設備、石垣。
新しく整備された観光施設ではなく、長い時間を過ごしてきたものが、その場所にそのまま残っている。
その雰囲気が、小菅の風景によく似合っていました。
反対側から見ると、いつもの長崎が違って見える
そして、今回歩いてみてもうひとつ面白かったことがあります。
それが、
「いつも通っている道を、反対側から見る」こと。
普段は車で走っている大通り。
そろばんドック側から見上げてみると、
「こんなところに建物が建ってたんだ……。」
と改めて驚きました。

山の斜面というより、場所によってはほとんど断崖絶壁。
その上に住宅や大きな建物が立っています。
長崎では坂の上に家がある風景自体は珍しくありません。
でも、下からじっくり眺めると、
「いや、これどうやって建てたと……?」
とちょっと怖くなるくらい(笑)。

普段は車から一瞬見るだけの景色も、歩いて立ち止まるだけでまったく違って見えます。
これも坂の街・長崎ならではの風景なのかもしれません。
今日歩いたのは、ほんの入口だけ
残念ながら、この日はあまり時間がありませんでした。
そろばんドック周辺を少し歩いて、そのまま車へ。
ただ、帰りに小菅の海沿いを車で走ってみると、その先にも気になる風景が続いていました。
細い道。
海沿いに並ぶ建物。
昔から残っていそうな家々。
坂へ続く階段。
そして、ところどころから見える長崎港。

そろばんドック周辺とはまた少し違う、さらにディープでノスタルジックな長崎がありそうです。
車で通りながら、
「ここ、今度ちゃんと歩いてみたいな。」
と思いました。
今回は時間がなく、ほんの入口だけ。
だからこそ、続きが気になっています。

観光地だけじゃない長崎を歩く
眼鏡橋やグラバー園、出島など、長崎には有名な観光地がたくさんあります。
もちろん、それも長崎の大切な魅力です。
でも最近、街を歩きながら感じるのは、
何でもない日常の風景の中にも、長崎らしさはたくさん残っている
ということ。
坂。
階段。
古い建物。
港。
工場。
細い路地。
そして、そこで暮らしている人たちの日常。
今回の小菅も、まさにそんな場所でした。
「記事を書こう」と思って出かけたわけでもありません。
いつもの道を走っていて、
天気が良かったから、なんとなく車を停めただけ。
でも、その「なんとなく」で歩いてみた場所が、思いのほか良かった。
こういう偶然の出会いも、街歩きの面白さなのかもしれません。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の坂や方言、猫、海など、この街の日常にあるものをテーマにデザインしています。
今回の小菅も、最初から何かを探しに来たわけではありません。
いつも通っている道。
小さい頃から知っている「そろばんドック」。
海の向こうに見える工場。
斜面に建つ家々。
何度も見てきたはずの風景なのに、車を停めて、自分の足で歩いてみると、その見え方は少し変わりました。
古いレールの先に海がある風景。
真夏の青空。
工場から聞こえてくる音。
坂や階段の先に続く住宅。
そこには、いわゆる「観光地としての長崎」とは少し違う、普段の長崎の格好良さがありました。
SAKAMACHI SUPPLYが大切にしている、
「この街の日常が、デザインになる。」
という言葉。
今回の小菅を歩いていると、まさにその言葉そのものだなと思います。
特別な場所を探さなくてもいい。
有名な景色じゃなくてもいい。
普段何気なく通り過ぎている場所にも、立ち止まって見てみれば、長崎らしい風景や面白さがちゃんと残っています。
そして、そんな日常の中で見つけたものが、いつか新しいデザインやアイデアにつながるかもしれません。
歩く。見る。気づく。そして、形にする。
NAGASAKI MAGAZINEで街を歩くことと、SAKAMACHI SUPPLYでものを作ること。
最近、この二つが少しずつつながってきたような気がしています。
🛍️ SAKAMACHI SUPPLY
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の「坂」「港」「方言」「街の風景」をモチーフにしたアイテムを展開しています。
長崎を知っている人には「懐かしい」。
長崎を知らない人には「なんだろう?」と思ってもらえる。
そんな**「長崎らしさ」**を、シンプルなデザインに込めています。
まとめ|真夏に見つけた、懐かしい長崎
春の桜。
夕方のそろばんドック。
そんな景色もきっと綺麗だと思います。
でも今回出会ったのは、
真夏の真昼間の小菅。
強い日差しと青い空。
静かな海。
風の音と工場の音。
古いレールと建物。
そして、その向こうに見える長崎の山と街。

特別なイベントがあったわけでもありません。
それでも、なぜかずっとその場所にいたくなるような、不思議な空気がありました。
そして今回は、まだほんの入口。
そろばんドックの先には、もっとディープな小菅の街が続いています。
次は時間を作って、海沿いの道をゆっくり一周してみようと思います。
いつになるかは、まだ分かりません(笑)。
でもきっと、また何か面白い長崎に出会えそうです。
いつも通っている街にも、まだ知らない長崎がある。
NAGASAKI MAGAZINEでは、これからもそんな風景を歩いて探していきます。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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