
知っているつもりだった、毛井首の町
長崎市南部にある、毛井首(けいくび)。
自分にとって毛井首は、まったく知らない場所ではありません。
昔から名前はもちろん知っているし、姉が結婚したばかりの頃に住んでいたこともあれば、従妹が団地に住んでいたこともあります。最近でも、仕事で毛井首の奥にある会社へ納品に行くことがあります。
妻にとっては、子どもの頃から同じ校区。友達が住んでいて、遊びに来ることもあった場所です。
だから、なんとなく知っている。
でも考えてみると、自分はいつも「目的地に行くため」に毛井首を通っていただけでした。
町そのものを見ながら、ゆっくり歩いたことはほとんどありません。
そんな毛井首が気になったきっかけが、先日歩いた鶴見台でした。
鶴見台から見下ろした先に広がっていたのは、海と住宅、団地、そして大きな工場。
「あそこ、改めて歩いてみたら面白そうだな」
そう思っていたところ、ふと思い立ったので会社からそのまま毛井首へ向かってみました。
知っているつもりだった町を、今日は少しゆっくり歩いてみます。

最初に目に入った、小さな港
鶴見台方面から毛井首へ。
いつもならそのまま通り過ぎる道をゆっくり走っていると、最初に目に入ったのが小さな港でした。
海の向こうには造船所。
大きなクレーンや船が見えて、その手前には住宅が並んでいます。
この風景を見た瞬間、どこか香焼に似ているなと感じました。
大きな観光地でもなければ、特別に知られた景色でもない。
でも、海のすぐそばに人の暮らしがあって、その向こうに造船所が見える。
こういう景色は、自分にとってすごく「長崎の日常」らしく感じます。
ちなみに長崎港の公式資料でも、毛井首は「毛井首地区」として港湾施設地区のひとつに数えられています。

住宅地と毛井首団地
港から少し進むと、今度は町の雰囲気が変わります。
通りを挟んで住宅が並び、その近くには毛井首団地。
自分の中で「毛井首」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やっぱりこの団地かもしれません。
今回改めて調べてみると、毛井首団地は県営住宅と市営住宅からなる大きな公営住宅団地。
県営住宅は昭和53~56年に完成した21棟で、現在の県資料では590戸。市営毛井首住宅も昭和54~55年度に建設された5棟140戸があります。
数字で見ると、やっぱり大きい。


住宅地の奥で見つけた、海と工場と小さな神社
毛井首団地の向かい側に広がる住宅地。
これまで自分も、この辺りは目的地へ向かうために通ることはあっても、その奥まで入ってみたことはほとんどありませんでした。
今回、住宅地の中を少し進んでみると、その先に現れたのは海。
小さな船が浮かぶ岸辺の向こうにはクレーンや工場が見え、さらにその先には香焼方面の造船所の風景が広がっています。

住宅地のすぐ先なのに、一気に港町らしい景色に変わる。
海と山、工場、クレーン。
普段は大きな通りから見えない場所に、こんな風景があったこと自体が自分にとっては新しい発見でした。

そして、その工場のすぐそばで見つけたのが、小さな神社。

工場の建物を背景に、ひっそりと残る鳥居と祠。
こういう景色も、実際に中へ入って歩いてみなければ気づかなかったものです。
住宅があって、その先に海があって、工場があって、そのすぐそばに小さな神社がある。
いろいろな毛井首の風景が、狭い範囲の中にぎゅっと詰まっているように感じました。
団地を見ると思い出す、子どもの頃
これは完全に個人的な話ですが、団地を見ると子どもの頃のことを思い出します。
自分が育った香焼にもいくつか団地があって、小学生の頃、団地に住んでいる友達の家へ遊びに行くことがありました。
そこでいつも思っていたのが、
「団地って楽しそうやなあ」
ということ(笑)。
同じ団地の中に友達が何人も住んでいて、家を出ればすぐ誰かがいる。
当時の自分には、それがものすごく羨ましく見えました。
香焼の団地でもそう感じていたくらいなので、この規模の毛井首団地が子どもたちでいっぱいだった頃は、どんな感じだったんだろう。
当時の土井首地区にはたくさんの子どもたちがいて、この団地のあちこちから声が聞こえていたのかな・・・。
そんなことを勝手に想像しながら歩きます。
今では長崎の町を歩いていても、昔ほど子どもの姿を見かけなくなりました。
町が変わったというより、自分が歳を取ったからそう感じる部分もあるのかもしれません。
でも、団地の間を歩いていると、昔友達の家へ遊びに行ったときの感覚が少しだけ戻ってくるようでした。
住宅のすぐ先に現れる工場
団地や住宅地を抜けてさらに奥へ進んでみます。
すると、今度は工場が目立つようになります。
製鉄や造船に関係していそうな工場、そのほかにも食品関係と思われる工場などが並び、住宅地とはまた違った空気になります。
昨日まで住宅の町として見ていた場所のすぐ先に、こうした景色が広がっているのが面白い。

さらに進むと、海へ出ます。
目の前に広がる海。
岸壁。
クレーン。
船。
そして、その向こうには女神大橋。

写真では少し遠く見えますが、実際に立って見ると女神大橋が思っていた以上に大きく感じられました。

ここまで来ると、さっきまで歩いていた団地の町とはまったく違います。
同じ毛井首の中なのに、少し進むだけで景色が次々に変わっていきます。
国分町とは、また違う工場の町
少し前に歩いた国分町でも、住宅と工場が隣り合う風景が印象に残りました。
ただ、実際に歩いてみると毛井首は少し違います。
国分町では、家と工場が同じ町の中に入り混じっているような感覚がありました。
それに対して毛井首は、住宅地、団地、工場地帯。
それぞれはすぐ近くにあるのに、なんとなくエリアが分かれている。
あくまで自分が歩いて感じた印象ですが、そんな違いがありました。
そしてもうひとつ違ったのが、匂いです。
国分町を歩いたときに強く印象に残ったのは、工場から漂ってくる油のような匂い。
毛井首にも工場はたくさんありますが、今回自分が強く感じたのは海の匂いでした。
海に面した場所が多く、潮の匂いを感じながら工場の横を歩く。
似たような「工場のある海辺の町」でも、歩いてみると空気が違う。
こういう違いは、車で目的地だけを往復していた頃には気づかなかった部分です。

SAKAMACHI SUPPLY的な視点
毛井首を歩いて改めて感じたのは、長崎の面白さは有名な観光地だけにあるわけではないということ。
海があって、団地があって、住宅があって、工場がある。
一つひとつだけを見れば、どこにでもありそうな日常の風景です。
でも、それらが山と海に挟まれた限られた土地の中で隣り合っていると、ちゃんと「この町らしい景色」になる。
坂道や古い建物だけではなく、団地も、工場も、港も、その町で暮らしてきた人たちの日常です。
この街の日常が、デザインになる。
SAKAMACHI SUPPLYで大切にしているこの言葉は、こういう場所を歩くたびに、少しずつ意味が増えていくような気がします。
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まとめ|知っている町ほど、歩くと面白い
昔から知っていた毛井首。
仕事で行ったこともある。親戚が住んでいたこともある。
それでも今回ゆっくり回ってみると、
「ここ、こんな場所だったんだ」
と思う景色がいくつもありました。
小さな港から見える造船所。
大きな毛井首団地。
住宅地の先に広がる工場。
海の匂い。
岸壁から見える女神大橋。
どれかひとつが毛井首なのではなく、それぞれが隣り合っていること自体が、この町の面白さなのかもしれません。
妻にとっては、自分よりずっと子どもの頃の記憶が残っている場所。
今度一緒に歩いてみたら、
「ここで遊びよった」
「昔ここはこうやった」
なんて、自分には見えなかった毛井首がまだまだ出てくるかもしれません(笑)。
遠くへ行かなくても、知っている町を少しゆっくり歩くだけで新しい景色が見つかる。
またひとつ、長崎の「知っていたつもりだった場所」を見つけました。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
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