
昔から知っている深堀を、今日は歩いてみる
長崎市南部、深堀町。
普段、この辺りを車で走るときは、ほとんどが県道29号。
仕事でも私生活でも使うので、こちらはほぼ毎日のように通っています。
その県道から一本入ったところに、昔から続く旧道のような通りがあります。
この道自体は昔から知っていました。
車でもこれまで十数回ほど通ったことがあるし、部分的に歩いたこともあります。
なんなら結婚して数年間は、この先にあるカトリック教会近くのアパートに住んでいたこともありました。
それでも、
この道を端から端まで、ゆっくり歩いたことは一度もない。
NAGASAKI MAGAZINEを始めていなかったら、おそらくこれからもわざわざ歩くことはなかったと思います(笑)。
だったら今回は、車を使わずに歩いてみよう。
フレスポ深堀を出発して旧道へ入り、武家屋敷跡、深堀神社、深堀教会付近まで。
帰りは、いつも車で通っている県道29号を歩いてフレスポ深堀へ戻ります。
昔から知っている深堀を、今日は歩く目線で見てみます。
まずは、久しぶりすぎる歩道橋から

フレスポ深堀を出発して、最初に渡ったのがこの歩道橋。
ほぼ毎日のように車でこの下を通っています。
でも歩道橋を渡るとなると・・・
たぶん中学生くらいの頃以来(笑)。

普段は完全に景色の一部。
そこにあることすら意識しなくなっていました。
実際に久しぶりに上ってみると、いつも車から見ている場所なのに、視点が数メートル上がっただけで新鮮です。
そういえば最近、歩道橋そのものも撤去されたりして、以前より少なくなってきたような気がするなぁ。
そんなことを考えながら渡りました。

歩道橋を渡ったら、そのまま道を下っていきます。

ここから左へ。
いよいよ今回歩きたかった通りへ入ります。
いつもの県道を、反対側から見る

旧道側を歩いていると、ところどころから普段車で走っている県道29号が見えます。
もちろん、ここから県道が見えること自体は知っています。
車からこちら側を見たこともある。
でも実際に歩いて立ち止まり、反対側からゆっくり眺めてみると、
いつもの景色なのに、なんだか新鮮なんですよね(笑)。
最近NAGASAKI MAGAZINEでいろいろな場所を歩いていて、この感覚がすごく面白くなってきました。
いつもの場所を、反対側から見る。
ほんの少し立つ場所を変えただけで、知っている景色が違って見えます。
歩き始めてすぐ、情報量が多い(笑)

旧道を進んでいると、お地蔵さん。
さらに歩くと・・・

恵比須さま。

そして鳥居。

お寺もあります。
このあとには深堀神社があり、さらに歩けばカトリック教会もある。
歩きながら、
「この通り、いろんな信仰が暮らしの中にあるなぁ」
と感じました。
大きな観光施設としてドンと存在しているというより、住宅や道路のすぐそばに、ごく自然にある。
車で通れば一瞬。
歩いているからこそ、一つひとつが目に入ります。
近所のおばあちゃんから、突然の情報(笑)
そして鳥居の写真を撮っていたときのこと。
近所のおばあちゃんが声をかけてくれました。
「そこのミラーを右に曲がって行ったら、違うえびすさんがあるよ(笑)」
え?
違う恵比須さま?(笑)
予定していたルートではなかったんですが・・・
そんなこと聞いたら、
行くしかないでしょう(笑)。
少し脇道へ入ってみます。

本当にいた(笑)。
こういう予定外の寄り道があるから、街歩きは面白い。
Googleマップで最短ルートだけを歩いていたら、たぶん出会わなかった場所です。
そして、この時点ではまだ知りませんでした。
深堀と恵比須さまには、かなり深い関係があることを(笑)。
それは、もう少しあとで。
そして気づく。床屋さんとパーマ屋さん、多くない?(笑)

歩きながら、もうひとつ妙に気になったことがあります。
床屋さん、パーマ屋さん、多くない?(笑)
今回歩いた区間だけでも、私が気づいただけで6軒ほど。
現在も営業されているように見えるお店もあれば、すでに営業を終えているように見えるところもありました。
なぜ、この通りにこれだけ理美容店が集まっているんだろう。
昔から人が集まる通りだったから?
城下町として栄えた歴史と何か関係がある?
それとも全然違う理由なのか。
今回調べた範囲では、理美容店が多い理由までは分かりませんでした。
でも、こういう
「なんで?」
が出てくるのも、歩いてみる面白さなんですよね。
車で通ったときには、こんなこと考えたこともありませんでした(笑)。
とにかく多い、脇道と抜け道
そして今回、一番気になったもの。
それが・・・
脇道です(笑)。

多い。
とにかく多い(笑)。
ここ最近、NAGASAKI MAGAZINEを始めてからいろいろな町を意識して歩くようになりましたが、
体感では過去最多じゃないか?
と思うくらい、気になる脇道や抜け道が次から次へ現れます。
「この先どこにつながっとるんやろ?」
「あっちにも道あるやん」
「ここ入ってみたいなぁ」
そんなことばかり考えていました(笑)。
しかも脇道へ目を向けると、長崎らしい階段まで出てくる。
全部入りたい。
でも全部入っていたら、今日中に帰れない(笑)。
なぜこんなに道が入り組んでいる?調べてみると・・・
ここで少しだけ、深堀の歴史を。
長崎市によると、深堀は長崎市で唯一、城下町の佇まいを残す港町。
江戸時代には佐賀藩の深堀鍋島家がこの地を治め、陣屋を中心に城下町が形成されました。現在も中世・近世の地割りや掘割りなどが残っています。
そして今回調べていて、
「あ、これか!」
となったことがありました。
長崎市の「深堀地区景観まちづくりガイドライン」には、武家地を中心にカギ型やT字路など、見通しの悪い防衛的な道路骨格が現在も残っているとあります。
なるほど。
もちろん今回気になったすべての脇道が、そのまま江戸時代から残っているとは言えません。
でも、
「なんでこんなに曲がり角や脇道が気になるんだろう?」
と歩きながら感じたことが、深堀という町の成り立ちと無関係ではなさそうです。
しかも当時の深堀は、陣屋のある南側が武家地、北側が商人地として計画的に形成されていたことも分かっています。
何も知らずに歩いて、
気になる。
あとから調べる。
すると、さっき歩いた景色に意味が出てくる。
最近、この流れがすごく面白いんです(笑)。
歩いていると、武家屋敷の面影が現れる

そのまま歩いていくと、今回のルートの中でも特に歴史を感じる一角へ。
深堀武家屋敷跡です。

深堀鍋島家は江戸時代、佐賀藩の家老職を務めた家で、6,000石を領していました。
深堀には陣屋が置かれ、その周囲に家臣たちが暮らす城下町が形成されていきました。

今も残る石塀。
この辺りまで来ると、
「昔、ここに武士たちが暮らしていたんだな」
ということが、歴史に詳しくない自分でも少し想像できます。
長崎市も、この武家屋敷通りを歴史的な景観を残す重要な場所として位置づけ、石塀などの保存を進めています。

古い町だからといって、昔の建物だけが残っているわけではありません。
新しい住宅も結構あります。
昔からある石塀。
古い家。
新しい家。
その間を細い道が抜けていく。
昔の町の骨格の上で、今の暮らしが続いている。
そんな感じがしました。
動画で見る、深堀武家屋敷跡
写真だけでなく、実際に歩いたときの雰囲気も残してみました。
石塀や道幅、周囲の家との距離感。
こういう場所は動画で見ると、また少し印象が違います。
武家屋敷跡から、深堀神社へ

武家屋敷跡を抜け、そのまま深堀神社方面へ歩きます。

深堀神社。

階段を上った先に社殿があります。

ちなみに入口にある石鳥居は長崎市指定有形文化財。
現在の鳥居は1837年に建てられたもので、柱には深堀創設の由来が刻まれています。
歴史を詳しく知らずに歩いていましたが、あとから調べると、
普通に通り過ぎそうなものにも、ちゃんと深堀の歴史が残っている。
これも今回歩いてみて感じたことでした。
そして、その先には教会がある

さらに歩いて、深堀教会付近へ。
この辺りは以前住んでいたこともあるので、個人的には馴染みのある場所です。
それでも今日、旧道側から歩いてここまで来ると、いつもとは少し印象が違いました。
今回のルートを振り返ると、
お地蔵さん。
恵比須さま。
鳥居。
お寺。
深堀神社。
そして教会。
一時間ほど歩いただけなのに、いろいろな信仰の風景に出会いました。
それぞれの詳しい歴史をすべて知っているわけではありません。
でも、昔から人が暮らしてきた町の中に、それぞれの信仰が今も自然に存在している。
歩いたからこそ、それを一つの「町の風景」として感じられた気がします。
帰りは、ほぼ毎日車で通る県道29号を歩く
ここから折り返し。
帰りは旧道ではなく、県道29号側を歩いてフレスポ深堀へ戻ります。

ここは逆に、車ではほぼ毎日のように通る道。
でも、歩くことはまずありません(笑)。
そして歩き始めて、またひとつ発見。

ここにも恵比須さまがいました(笑)。
この道、ほぼ毎日のように車で通っているんです。
もちろん存在自体は目に入っていたはず。
でも今回、旧道を歩きながら何度も恵比須さまに出会ったあとだからなのか、妙に気になる。
「やっぱり深堀、恵比須さま多いな(笑)」
この時点で、だんだん「ほかにもまだいるんじゃないか?」という気持ちが強くなってきました。

車なら一瞬で通り過ぎる景色。
歩いてみると、見えるものが全然違います。
そして今度は県道側から・・・

さっき歩いていた旧道を見る。
行きは旧道から県道を見て、
帰りは県道から旧道を見る。
ほんの少し視点を変えるだけなのに、やっぱり面白い。
最近どうも、「反対側から見る景色」にハマっているようです(笑)。
「深堀から世界へ」

帰り道、深堀公園付近に掲げられている横断幕。
「深堀から世界へ はばたけ森保ジャパン」
これは普段車からもよく目にする景色。
いつも見ているものですが、歩いていると改めて立ち止まって写真を撮りたくなります。
こういうものも、車では「知っている景色」。
歩くと「見る景色」になる。
この違いも面白いですね。
ところで……深堀の恵比須さま、何体いるの?
さて。
ここで途中に出会った恵比須さまの話に戻ります。
今回、特に探していたわけでもないのに何度か出会い、さらに地元のおばあちゃんから別の恵比須さままで教えてもらいました。
そこで帰ってから調べてみました。
すると・・・
深堀町には、約70体の恵比須さまがいるそうです(笑)。
多っ(笑)。
長崎市によると「浜えびす」「波止えびす」「屋敷えびす」などがあり、路地や家の庭など思わぬ場所にも祀られています。深堀の恵比須信仰は佐賀藩とのつながりの中で伝わったとされ、現在も町の中に数多く残っています。
今回出会ったのは、そのほんの一部。
となると・・・
探したくなるよね(笑)。
これはいつか、
「深堀の恵比須さまを探して歩いてみた」
をやってみたい。
しかもあれだけ脇道がある。
脇道を歩きながら恵比須さまを探す。
・・・普通に一日終わりそうです(笑)。
20~30分くらい歩いたかな?と思ったら・・・
そしてフレスポ深堀へ戻ってきました。
結構歩いたはずなのに、それほど疲れた感じがありません。
体感では、
「20~30分くらい歩いたかな?」
という感じ。
時計を見ると・・・
1時間超えてました(笑)。
全然違う(笑)。
ただ一時間歩けと言われたら、たぶん長く感じます。
でも今日は、
「この鳥居なんだろう?」
「あそこにも恵比須さまがおる」
「この脇道どこ行くん?」
「床屋さん、またある(笑)」
「この階段気になるなぁ」
そんなことを考えながら、止まって、写真を撮って、寄り道して。
歩くことより、見ることに夢中になっていた。
だから時間も、歩いた距離も、あまり感じなかったのかもしれません。
歩く際は、車にも注意
今回歩いた旧道は、場所によってかなり道幅が狭くなっています。
ただ、狭いからといって車がほとんど通らないわけではなく、実際にはそれなりに車の往来があります。
歩く場合は、車の接近に十分注意してください。
逆に車で通る場合も、道幅が狭いうえに歩行者もいるので、すれ違いや曲がり角ではゆっくり走るのがおすすめです。
歴史ある町並みを楽しみながらも、ここは今も普通に人が暮らしている町。
生活の邪魔にならないように歩くことも大切ですね。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
SAKAMACHI SUPPLYでは、
「この街の日常が、デザインになる。」
という言葉を大切にしています。
今回歩いた深堀も、初めて訪れた場所ではありません。
昔から知っている。
車で何度か通ったこともある。
一部を歩いたこともある。
そしてすぐ横の県道は、ほぼ毎日のように車で通っています。
それなのに、
ちゃんと歩いてみると、知らないことだらけでした。
歩道橋の上から見る景色。
旧道から見るいつもの県道。
住宅の間にある鳥居やお地蔵さん。
恵比須さま。
石塀。
階段。
そして、気になって仕方がない脇道。
何度も見てきた町なのに、移動する速さを変えただけで見えるものが変わる。
最近、NAGASAKI MAGAZINEを作りながら思います。
知っている場所と、歩いたことのある場所は、少し違うのかもしれません。
🛍️ SAKAMACHI SUPPLY
SAKAMACHI SUPPLYでは、長崎の「坂」「港」「方言」「街の風景」をモチーフにしたアイテムを展開しています。
長崎を知っている人には「懐かしい」。
長崎を知らない人には「なんだろう?」と思ってもらえる。
そんな「長崎らしさ」を、シンプルなデザインに込めています。
まとめ|端から端まで歩いたのに、まだ入口だった
今回、旧道を端から端まで歩きました。
武家屋敷跡へ行き、
深堀神社へ行き、
教会付近まで歩き、
帰りは県道29号を歩いてフレスポ深堀へ。
一周してきたわけだから、
「深堀を歩いてきた」
と言ってもいいはずです。
でも、歩き終わって感じたのは逆でした。
まだ入口しか見てないな(笑)。
気になる脇道は、ほとんど入っていない。
階段もある。
抜け道もある。
なぜか多かった床屋さんやパーマ屋さんのことも気になる。
そして約70体いるという恵比須さま。
一時間以上歩いたのに、
来る前より、気になることが増えて帰ってきました(笑)。
でも、それが街歩きの面白さなのかもしれません。
歴史を勉強してから歩いたわけではない。
まず歩いて、
「なんで?」
と思う。
帰って調べてみる。
すると、さっき歩いた道の見え方が少し変わる。
そしてまた、
「もう一回行ってみたい」
と思う。
今回歩けなかった脇道も、いつか全部曲がってみたい。
恵比須さまも探してみたい。
深堀。
これはどうやら、
一回歩いただけでは終わらない町でした(笑)。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
NAGASAKI MAGAZINEでは、実際に自分の足で歩き、見て、感じた長崎の魅力を写真とともに発信中。
有名な観光地だけでなく、何気ない坂道や住宅街、地元の人しか知らない景色まで、「歩いてこそ見えてくる長崎」をテーマに、この街の魅力を一つひとつ記録しています。
これからも長崎の街を歩きながら、この街の魅力を皆さんにお届けしていきます。

