
長崎の街なかに現れる、もうひとつの風景
長崎の街を歩いていると、ほんの数分歩いただけなのに、街の雰囲気がガラッと変わる場所があります。
そのひとつが、長崎新地中華街。
赤い柱。
鮮やかな装飾。
通りの上に連なる中国らしい意匠。
そして、通りの両側に並ぶ中華料理店やお土産店。
すぐ近くには長崎の普通の街並みが広がっているのに、中華門をくぐった瞬間、そこだけ空気が少し変わったように感じます。
長崎に暮らしていると「中華街があること」自体は当たり前になっていますが、改めてカメラを持って歩いてみると、やっぱりここは面白い。
今回は、そんな長崎新地中華街と、その周辺を歩いてみました。

日本三大中華街のひとつ「長崎新地中華街」
長崎新地中華街は、横浜・神戸と並ぶ日本三大中華街のひとつ。
東西、南北に延びる約250mの十字路を中心に、中華料理店や中国菓子、中国雑貨などを扱う約40店舗が並んでいます。
規模だけを見れば横浜中華街などよりコンパクトですが、それが逆に長崎らしいところなのかもしれません。
大きな観光エリアとして独立しているというより、普段の長崎の街の中に、中国文化を感じる一角がすっと溶け込んでいる。
歩いていても、
「ここから中華街」
そして少し進めば、
「もういつもの長崎の街」
という距離感です。
このコンパクトさも、実際に歩いてみると心地いい。

「新地」という名前には、ちゃんと理由がある
普段何気なく呼んでいる「新地」という名前。
実は、この土地の歴史そのものが名前に残っています。
江戸時代、長崎では中国との貿易が盛んに行われていました。
中国船から運び込まれた荷物は市内の海岸沿いにある蔵へ保管されていましたが、1698年の大火によって荷蔵が焼失。
そこで唐人屋敷前の海を埋め立て、新たな荷物の保管場所が造られました。
新しくできた土地だったことから、ここは「新地」や「新地蔵所」と呼ばれるようになります。
つまり現在、多くの人が観光や食事で訪れている新地中華街は、もともと海だった場所。
これを知ってから街を見ると、少し見え方が変わります。
今では建物が並び、人が歩き、車が走る場所。
でも数百年前には、この辺りまで海が広がっていた。
長崎ではこういうことが結構あります。
何気なく歩いている場所に、街の歴史がそのまま重なっているんですよね。
中華街を囲む、4つの中華門
長崎新地中華街を歩いていて、やっぱり目を引くのが中華門。
街の東・西・南・北にそれぞれ門が設けられています。
現在の中華門は、本場中国・福州市から資材を取り寄せ、中国の職人を招いて造られたもので、1986年に完成しました。
そして面白いのが、単なる入口ではないということ。
4つの門には、それぞれ方角を守る四神が配置されています。
東門=青龍
西門=白虎
南門=朱雀
北門=玄武
しかも、それぞれの門は東西南北の方角に合わせて配置されています。
何度も通ったことがある場所なのに、こういう背景を知ってから見ると、
「門って全部同じじゃなかったんだ」
となりますwww

近くで見ると、屋根や柱、細かな装飾までかなり作り込まれています。
車で横を通るだけではなかなか気づかない部分。
やっぱり街は、歩いた方が面白い。
「赤」がつくる、中華街らしい風景
中華街を歩いていて印象的なのが、やっぱり赤。
門の柱。
提灯。
看板。
橋の欄干。
街のあちこちに赤が使われています。
そしてこの日は天気も良く、真っ青な空。
青空と赤い中華門の組み合わせが、とにかく映える。

普段は目的のお店に向かって歩くことが多い場所ですが、今回は写真を撮りながらゆっくり歩いたことで、建物や装飾にも自然と目がいきました。
いつも知っている場所でも、目的を決めずに歩いてみると意外と発見があります。
一本の通りだけじゃない。横道にも中華街の風景がある
メインの通りはもちろん賑やかですが、個人的に面白かったのは少し横へ入ったところ。

電線が頭上を走り、その下に赤い装飾が続く。
新しい建物もあれば、昔からありそうな建物もある。
観光地として整えられた部分と、そこで普通に人が暮らしている街の風景が混ざっています。
こういう場所、好きなんですよね。
有名な建物だけを見るのではなく、
その場所と場所をつないでいる道を歩く。
そこに、その街らしさが一番出ている気がします。
中華街のすぐそばを流れる銅座川
そして今回歩いていて、改めて印象に残ったのが中華街のすぐ近くを流れる川。

*長崎新地中華街の北側を流れるのは、中島川の支流にあたる「銅座川」。
中華街の鮮やかな赤とは少し雰囲気が変わって、水辺の風景が広がります。
赤い欄干越しに水面を見る。
少し進むと、また中華街の門や街並みが見えてくる。
ほんの短い距離の中で、
中華街 → 川 → 普通の街並み
と景色が変わっていく。
これも長崎の街歩きの面白いところ。
観光スポットを「点」で見るより、その間を歩いて「線」でつなぐと、街そのものが面白くなってきます。

中華街を抜けると、湊公園へ
中華街の南側へ抜けると現れるのが湊公園。

普段は比較的ゆったりとした雰囲気で、市民の憩いの場所としても使われている公園です。
しかし冬になると、その景色は一変します。
長崎の冬を代表するイベント、長崎ランタンフェスティバルのメイン会場となる場所です。
現在の長崎ランタンフェスティバルは、もともと新地中華街の華僑の人たちが旧正月を祝って行っていた「春節祭」が始まり。
1994年から規模を拡大し、現在の「長崎ランタンフェスティバル」へと発展しました。
普段の昼間に歩く湊公園。
そしてランタンに照らされた夜の湊公園。
同じ場所なのに、まったく違う表情になります。
昼の中華街と、夜の中華街
そして今回は、以前撮影した夜の写真も。

昼間は青空の下で鮮やかに見える中華門。
夜になるとライトに照らされ、一気に雰囲気が変わります。
昼は活気のある観光地。
夜は少し落ち着いて、どこか異国情緒を感じる街。
長崎市も中華門のライトアップを行っており、昼だけでなく夜の中華街も楽しめるようになっています。
個人的には、昼と夜の両方を歩いてみてほしい場所。
同じ門でも、写真にすると全然違います。
中華街だけで終わらせるのは、ちょっともったいない
そして今回改めて思ったのがこれ。
新地中華街だけ歩いて帰るのは、ちょっともったいない。
新地周辺には、長崎と中国との交流を感じられる場所がいくつも残っています。
中華街から湊公園を抜け、さらに歩けば唐人屋敷跡へ。
唐人屋敷は、江戸時代に貿易のため長崎へやって来た中国人が暮らしていた場所です。
現在も周辺には当時の面影につながるお堂などが残っています。
つまり、
新地中華街 → 湊公園 → 唐人屋敷跡
と歩いていくと、単なる中華街観光から、長崎と中国の歴史をたどる街歩きへ変わっていく。
これは今後、NAGASAKI MAGAZINEでも改めて歩いてみたいところです。
長崎らしさは、いろんな文化が混ざっていること
長崎といえば、異国情緒。
よく使われる言葉です。
でも実際に街を歩いてみると、その「異国」がひとつではないことに気づきます。
オランダ坂や出島には西洋との交流の歴史があり、新地や館内には中国との交流の歴史がある。
さらに、それらが長崎にもともとあった文化と混ざり合い、現在の街をつくっています。
中国から長崎へ伝わった文化は、祭りや食文化などにも影響を与え、今も長崎の日常の中に残っています。
だから長崎の街は、少し歩くだけで景色が変わる。
教会があったと思えば寺がある。
石畳の坂があったと思えば、中華門が現れる。
そして少し先には海がある。
バラバラに見えるものが、ひとつの街の中に普通に存在している。
それこそが、長崎の面白さなのかもしれません。
SAKAMACHI SUPPLY的な視点
SAKAMACHI SUPPLYでは、
「この街の日常が、デザインになる。」
をひとつのテーマにしています。
今回、中華街をカメラ片手に歩いてみて感じたのも、まさにそれでした。
観光地として有名な場所でも、少し目線を変えるだけで見えるものが違います。
門の細かな装飾。
路地の奥へ続く赤い柱。
川沿いの道。
青空。
古い建物。
新しい建物。
そこで働く人。
そこを歩く人。
ガイドブックに載っている有名な景色だけが、その街の魅力ではありません。
歩いて、見て、気づいた街の日常。
そういう長崎の風景も、これからSAKAMACHI SUPPLYやNAGASAKI MAGAZINEを通して残していけたらと思っています。
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長崎を知っている人には「懐かしい」。
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そんな**「長崎らしさ」**を、シンプルなデザインに込めています。
まとめ|知っている街も、歩けばまた違って見える
長崎新地中華街。
長崎に暮らしていれば、何度も通ったことがある人も多い場所です。
ちゃんぽんを食べに行ったり。
買い物をしたり。
ランタンフェスティバルで訪れたり。
でも今回、改めて写真を撮りながらゆっくり歩いてみると、今まで気づかなかった景色がたくさんありました。
中華門を見上げる。
路地へ入る。
川沿いを歩く。
湊公園まで足を延ばす。
そして、この場所がかつて海だったことや、中国との貿易によって生まれた街だと知る。
知っている場所でも、歩いてみるとまだ知らない長崎がある。
NAGASAKI MAGAZINEでは、これからもそんな長崎の街を実際に歩きながら、この街の日常と、その中に残る小さな物語を紹介していきます。
次に新地中華街を訪れたときは、目的のお店へまっすぐ向かうだけではなく、少しだけ遠回りして歩いてみてください。
いつも見ている長崎が、ちょっと違って見えるかもしれません。
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NAGASAKI MAGAZINEは、長崎の坂や方言、港町の風景、歴史、そして暮らしの魅力を発信するWEBマガジンです。
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この記事を書いた人
道下 真悟(みちした しんご)
有限会社長崎ダイレクトセンター 代表取締役 / Web解析士
長崎生まれ、長崎育ち。
Webサイト制作やDM発送など、企業の情報発信をサポートする仕事に携わる一方で、休日や仕事の合間にはカメラを片手に長崎の街を歩き、坂道や路地、海、港、歴史ある街並みを巡っています。
NAGASAKI MAGAZINEでは、実際に自分の足で歩き、見て、感じた長崎の魅力を写真とともに発信中。
有名な観光地だけでなく、何気ない坂道や住宅街、地元の人しか知らない景色まで、「歩いてこそ見えてくる長崎」をテーマに、この街の魅力を一つひとつ記録しています。
これからも長崎の街を歩きながら、この街の魅力を皆さんにお届けしていきます。

